四国初の「Adobe XD ユーザーフェス 2019 松山」が7月13日、サイボウズ松山オフィス(松山市二番町3)で開催された。
「Adobe XD」(以下XD)は、アドビ(東京都品川区)が提供するソフトウェア。「Design at the Speed of Thought(思考の速度でデザインする)」を開発理念に掲げ、ウェブサイトやモバイルアプリ開発を行う際の、アプリのデザインからプロトタイプの作成までの流れを、ユーザー操作性も含めて開発者間で共有しながら進めることができるもの。ローディング画像や、ページ遷移、画面表示の動きなどを目に見える形で共有できるのが特長で、人によって感じ方異なることの多い「動き」要素のイメージを開発者間で明確に共有できる点が、ユーザーから評価を得ている。
2017(平成29)年10月に正式版がリリースされて以降、ユーザー声をもとに1年間で60以上の機能を追加するなど、開発者と利用者間の交流も盛ん。現在、札幌・秋田・仙台・東京・名古屋・京都・大阪・神戸・広島・福岡・沖縄と、全国に11のXDユーザーグループ(以下XDUG)が生まれている。
「Adobe XD ユーザーフェス」は、全国各地のXDUGが開催するイベント。XDの楽しさや面白さ、幅広い活用方法を共有し、ユーザー間の交流を深めることを目的に、XDを業務で活用している人、趣味などで利用している人やこれからXDを始めてみたいと思っている人を対象に開いている。
松山にはまだXDUGが存在しないが、今回は、多くのユーザーから「四国でも開催を」との声が上がったことをきっかけに、愛媛のウェブ制作者が情報共有をするコミュニティー「AED(All Ehime Digitalcreators)」と共同での開催が決まった。
イベントでは、参加者が実際にパソコンを持ち込み、ハンズオンでXDの使いこなし方や、初心者向けの機能説明、アニメーションや音声など最新機能のデモンストレーションを体験した。講演では、アドビのマーケティングマネジャー轟啓介さんも登壇し、XDの開発理念や今後のロードマップについて話したほか、開発の裏話や、プロトタイプ版を社内でプレゼンテーションした際の動画を披露し、会場を盛り上げた。
イベント運営を担当した「AED」の阿部冴香さんは自身もウェブ制作に携わる。数年前に、当時利用していたツールが開発終了になり、代わりとなるツールを探していた際に、XDの開発情報を知って利用を開始した。「使い始めた最初の頃には、正直使い勝手の悪さを感じることも多かったのだが、この1、2年で飛躍的に機能が進化しており、ユーザーとして今後の利便性の向上に期待している。四国や愛媛ではまだXDの知名度が低く、利用者も少ないが、ウェブ制作の現場ではこれからの時代に欠かせないツールになると感じている。より使いやすく、クリエーターにとってウェブ制作が面白くなるようなアプリに成長し、ユーザー層もさらに広がれば」と期待を語った。