リリース発行企業:株式会社矢野青山建築設計事務所
愛媛県松山市の矢野青山建築設計事務所(代表:矢野寿洋・青山えり子)が設計した「だんだんPARK(ネッツトヨタ愛媛本店)」が、2026年10月8日発表の「第7回JIA四国建築賞2026」で大賞に選ばれました。同賞は2年に一度開催され、大賞は1作品に贈られます。
続く10月15日には、「第76回全国植樹祭 お野立所」と「しみずクリニック 泌尿器科・内科」が、公益財団法人日本デザイン振興会主催の「2026年度グッドデザイン賞」を受賞しました。これにより、当事務所が設計した建築は、2026年に5作品で計7件の建築・デザイン賞を受賞しました。

キャプション:左から、だんだんPARK(JIA四国建築賞 大賞)、第76回全国植樹祭 お野立所、しみずクリニック(グッドデザイン賞)。撮影:西川公朗
■ 2026年の受賞一覧
・第7回JIA四国建築賞2026 大賞 ― だんだんPARK(ネッツトヨタ愛媛本店、松山市)
・2026年度グッドデザイン賞 ― 第76回全国植樹祭 お野立所(松山市)
・2026年度グッドデザイン賞 ― しみずクリニック 泌尿器科・内科(松山市)
・令和8年度 日事連建築賞 一般建築部門 優秀賞 ― 伊方町健康交流施設 佐田岬亀ヶ池温泉(伊方町)
・令和8年度 木材利用推進コンクール 木材利用推進中央協議会会長賞 ― 第76回全国植樹祭 お野立所
・ウッドデザイン賞2026 ― 第76回全国植樹祭 お野立所
・ウッドデザイン賞2026 ― とべ動物園エントランス前トイレ(砥部町)
受賞した5作品は、自動車販売店、全国植樹祭の式典建築、診療所、温泉施設、動物園の公衆トイレと、用途も規模も異なります。建築、デザイン、木材利用という異なる視点から評価をいただいたことを、地域の多様な課題に向き合い、設計の領域を広げながら実践を重ねてきた成果と受け止めています。
■ 10月に受賞した3作品
【第7回JIA四国建築賞2026 大賞】
だんだんPARK(ネッツトヨタ愛媛本店)
松山空港と中心市街地を結ぶ旧空港通りに建つ、ネッツトヨタ愛媛の本店・本社です。「段々」に重なる屋上駐車場と緑地を、公園のように市民に開いています。
クライアントと2年をかけて施設のあり方を検討し、自動車販売店の機能に、カフェや地域イベントの場などを組み合わせました。向かいに建つ同社の社屋(設計:伊東豊雄)とともに建物を通りから後退させ、通り沿いにオープンスペースを生み出しています。民間施設が、地方都市の公共的な居場所を担うことを目指した建築です。


だんだんPARK(ネッツトヨタ愛媛本店)。「段々」に重なる屋上駐車場と緑地を公園のように市民に開く。撮影:西川公朗
構造・規模:鉄骨造3階建て
延床面積:5,497.97平方メートル
構造設計:平岩構造計画
外構設計:SfG landscape architects
設備設計:コモド設備計画
施工:トライアル
【グッドデザイン賞】
第76回全国植樹祭 お野立所
2026年5月17日、愛媛県で60年ぶりに開催された全国植樹祭で、天皇皇后両陛下をお迎えした式典建築です。
県産CLT(ひき板を繊維方向が直交するように積層・接着した木質パネル)を用い、構造と仕上げを一体化しました。大判のパネルを回転させ、ずらして重ねることで、光や風を取り込みながら、雨仕舞いと構造上の要件を満たしています。石鎚山を思わせる姿と、合理的な構成の両立を目指しました。
接合には、解体しやすい乾式工法を採用。式典後に解体したCLTは、家具などに再利用されています。一日の式典を支えるとともに、その後の木材の活用まで見据えた計画です。
グッドデザイン賞の審査では、県産CLTのパネル化によって4日間という短い施工期間で組み上げた点と、木の表情を全面に見せた姿が評価されました。「その印象的なフォルムによりまつりのシンボルとなる」と評されています。
グッドデザイン賞公式 受賞ページ


第76回全国植樹祭 お野立所。構造と仕上げを兼ねたCLTパネルを点対称に重ねる。撮影:西川公朗
建築面積:77.71平方メートル
最高高さ:12.17m
構造設計:平岩構造計画
施工:大江工務
CLT製造:サイプレス・スナダヤ
【グッドデザイン賞】
しみずクリニック 泌尿器科・内科
松山市問屋町に建つ診療所です。受付・待合・中待合をひとつながりの回遊型プランで結び、光と緑を感じられる空間をつくりました。
回遊部の屋根には、県産ヒノキのCLTを長方形の板のまま梁に載せ、ビスで固定しています。板の間の隙間を設備スペースとして活用し、天井材を張らずに木の面をそのまま見せています。複雑な加工を抑え、地域の工務店が施工しやすい方法で、CLTの構造材としての性能と木の質感を生かしました。
グッドデザイン賞の審査では、患者の気持ちに配慮した回遊型プランと、CLTの配置・構造・工法を一体的に考えた設計が評価されました。生き生きとした空間について、「病院は自身と向き合わざるを得ず、少なからず不安を感じてしまう場所であるが、この空間はその事を和らげてくれるはずである」と評されています。
グッドデザイン賞公式 受賞ページ


しみずクリニック 泌尿器科・内科。回遊部の屋根に県産ヒノキCLTを板のまま載せる。撮影:西川公朗
構造・規模:木造一部CLT造2階建て
延床面積:235.13平方メートル
竣工:2025年3月
構造設計:平岩構造計画
施工:トライアル
CLT製造:サイプレス・スナダヤ
■ 愛媛県産CLTを「板のまま」使う
愛媛県には豊かな森林資源があり、西条市には3m×12mの大判CLTを製造できる工場があります。森林から製材、CLT製造、施工までを地域でつなげられることは、愛媛で木の建築をつくる大きな強みです。
その強みを生かすため、当事務所が重視してきたのが、CLTを「板のまま」使うことです。切断や加工を最小限に抑え、一般に流通する金物を活用しながら、構造材と仕上げ材を兼ねる設計に取り組んできました。加工・接合の複雑さやコストを抑え、地域の施工技術で実現できる方法を探っています。
今回受賞した「だんだんPARK」「第76回全国植樹祭 お野立所」「しみずクリニック 泌尿器科・内科」「とべ動物園エントランス前トイレ」は、いずれもこの考え方を生かした建築です。同じ地域の素材と製造技術から、用途や規模に応じた異なる空間を生み出しています。
■ 代表コメント 矢野寿洋(代表/愛媛大学 工学部 准教授)
「私たちは設計に際し、一つの強いコンセプトで全体をまとめるよりも、さまざまな要件を丁寧に読み解きながら、よりよい解を探ることを大切にしています。利用者にとって、産業にとって、森にとって、そして地域にとって何がよいのか。その問いを重ねるなかで、大きな板として構造と仕上げを兼ねるCLTの可能性や、これまでにない機能の組み合わせ方を見いだしてきました。用途も規模も異なる建築が評価されたことを、うれしく思います。
今年から始まった愛媛大学の建築・社会デザインコースでの教育でも、学生たちと、多様な用途を組み合わせることや、地域の木を生かすことの可能性を考えていきたいと思います。
今回の受賞は、施主の皆さま、構造・設備設計者、施工者、木材・CLT製造者をはじめ、多くの方々との協働の成果です。これからも、地域の未来を地域で考え、ともにつくる実践を重ねていきます。」
■ 今後の予定
・2026年10月31日(土)~11月4日(水) 「G展・2026年度グッドデザイン賞受賞展」東京ミッドタウン(東京都港区赤坂9-7-1)
・2026年11月20日(金) CLT建築普及セミナー(西条市)
だんだんPARK・お野立所・しみずクリニック・とべ動物園エントランス前トイレについて矢野寿洋が講演
・2026年12月11日(金)第5回 中大規模木造建築シンポジウム・実務者交流会(高知)
パネルディスカッションに矢野寿洋が登壇
■ 取材・写真のご提供について
受賞各作品の高解像度写真(撮影:西川公朗)、図面、設計者へのインタビュー取材のご相談を受け付けています。掲載の際は撮影者クレジットの表記をお願いいたします。
しみずクリニックの現地取材は診療に配慮し、事前に日程を調整させていただきます。お野立所は式典後に解体済みのため、写真・図面・部材再利用の状況によるご紹介します。
■ 矢野青山建築設計事務所について
松山市三津浜に拠点を置く建築設計事務所(代表:矢野寿洋・青山えり子)。公共建築から医療・福祉、商業、オフィス・工場、住宅まで幅広く手がけ、近年は愛媛県産CLTを用いた建築に継続的に取り組んでいます。代表の矢野寿洋は愛媛大学工学部 建築・社会デザインコース准教授を兼任し、設計実務と教育・研究を往復しながら、地域の資源と技術で建築をつくる方法を探究しています。
所在地:〒791-8062 愛媛県松山市住吉2-6-23 ミツてらす2F
Web:https://yanoao.com
【本件に関するお問い合わせ】
矢野青山建築設計事務所 担当:矢野寿洋
TEL:089-948-8190 E-mail:t-yano@yanoao.com