松山のアート系シアター「シネマルナティック」(松山市湊町3、TEL 089-933-9240)で5月10日から、「祖谷(いや)物語-おくのひと-」が上映される。
同作品は、今年1月にノルウェーで開催されたトロムソ国際映画祭で最高賞のオーロラ賞を受賞した。人間と自然との共存がテーマで、徳島県三好市の祖谷を舞台に厳しい自然の中で生きる人々を描いた物語。1年間にわたって四季折々の表情を記録した。35ミリで撮影された映像は、デジタル作品にはない崇高さを生み出しているという。
監督は蔦哲一朗(つた てついちろう)さん。徳島県生まれで、東京工芸大学出身。大学時代にアナクロ映画集団「ニコニコフィルム」を立ち上げ、前作「夢の島」を発表。デジタル化に反旗を翻し、モノクロ16ミリフィルムによる撮影で、バンクーバー国際映画祭、イギリス・グラスゴー映画祭などに出品。海外からも好評価を獲得している期待の若手監督だ。
キャストは「ハイキックガール」「KG カラテガール」など本格アクション映画の主演を務める武田梨奈さん。本作品ではアクションを完全封印し、忍び寄る時代の変化や将来の不安に揺れ動く心の機微を巧みに表現する。