松山市内各所の神社で7月30日、カヤでできた大きな輪「茅(ち)の輪」をくぐり、汚れをはらい清めて本年の残り半年の健康を祈る「夏越(なごし)祭り」が開かれた。
夏越祭りは「輪越し」の呼び名でも親しまれており、松山市内の神社では旧暦の6月30日に近い7月30日に広く行われている。茅の輪をくぐる風習は、日本神話に由来する。スサノオノミコトが、蘇民将来に「茅の輪を腰に着ければ疫病を逃れることができる」と伝えたという逸話が元になっており、江戸時代の頃までに現在のように茅の輪をくぐる儀式として定着したといわれている。
道後温泉近くの伊佐爾波(いさにわ)神社(松山市桜谷町)では、社殿の中に、カヤを束ねて作った直径2メートルほどの輪を設置。訪れた参拝客らが次々に茅の輪をくぐって、健康や厄よけ開運などを祈った。息を吹き掛けたり、一晩枕の下に置いたりして厄を移した和紙の人形を奉納し、「ダイバ」と呼ばれる鬼の面を付けた神職の祈とうを受ける姿も見られた。
参拝に訪れた松山市内の女性は「梅雨が終わって輪越しのお祭りに来ると、今年も夏本番だな、と感じる。子供のころからいつもお参りに来ていたので、お祭りに来ないと何だか落ち着かないような気持ちになる。気がつけば過ぎてしまう半年余りの区切りとして、大切な年中行事だと感じている。」 と話した。