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JA松山市が野菜無償配布「学校給食になるはずだった野菜を食べてあげて」

JA松山市・石井支所で9日に行われ、600人余りが訪れた無償配布の様子

JA松山市・石井支所で9日に行われ、600人余りが訪れた無償配布の様子

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 JA松山市(松山市三番町8)が公立学校の臨時休校の影響で発生した学校給食用の余剰野菜を買い取り、3月9日から地域住民へ無償配布を行っている。

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 無償配布するのは、松山市立の小中学校と幼稚園の給食用食材を納入している松山市学校給食会が生産者から直接仕入れた地元産野菜。キャベツ約2000個、ジャガイモ約3000個の合計約4トン。

 初日には会場のJA松山市石井支所(北土居5)に、開始の2時間前からエコバッグなどを手にした100人以上の列ができたため、当初の予定を30分前倒しして10時30分から配布を開始。20分ほどで、用意していたキャベツとジャガイモ合わせて1.2トンを配り終えた。

 この取り組みは、JA松山市南部出張所に勤務する筆脇さんが、公立校の臨時休校による給食余剰食材の問題を知り、本所金融推進課に勤務する元同僚の伊賀上さんに「余剰となった給食食材が行き場をなくし、農家や関連業者の死活問題になっている。食材をJA松山市で買い取り、期間限定の粗品や、職員による自家用購入などで活用できないだろうか」と相談したことが発端となり実現したもの。

 伊賀上さんからの提案は、組合長の阿部和孝さん、専務の岡田明夫さんらの判断ですぐ実行に移され、公立校の休校が決まった3月4日のうちに、JA松山市が学校給食を管轄する松山市保健体育課に、余剰食材の買い取りを申し出た。5日には正式な買い取り金額を決定。6日には全体の段取りを決定し、9日にJA松山石井支所で1回目の無償配布が実現した。

 松山市保健体育課の岡野祐介さんは「今回の、JA松山市の申し出には本当に感謝している」と話す。「当初は余った野菜の即売会を検討していたが、松山市内でも新型コロナウイルスの感染が発生したため、即売会の実施を中止した経緯がある。非常に迅速な判断で、他のルートでは消費しきれなかった野菜類の買い取りを決定し、お金もマンパワーも提供して、各支所への配送から当日の配布まで全ての作業を主導して実施してくれた。余剰食材の販路を確保できずに困っていた生産者も、無償配布の野菜を受け取った人も、関わった人はみんな笑顔になったと感じている。素晴らしい協力に心から感謝したい」と話す。

 今回、無償配布のアイデアを実現させた伊賀上さんは「岡田専務は以前農業指導員だったこともあり、農家とのつながりが密で、その苦労もよく知っている。『せっかくの野菜を無駄にしてはいけない』という気持ちが、今回の素早い取り組みにつながったと思う」と話す。「当初はJAバンクの利用者に、期間限定の粗品として配布することなども検討したが、最終的には地域の皆さんに無償配布できることになった。JA松山市ではこれまでにも、粗品として花苗の配布などを行った経験があり、配送や配布のオペレーションに慣れていたのでスムーズに対応することができた。予想以上の人が来てくれてとてもうれしい。皆さんにありがとうと言いたい」と感謝の気持ちを語った。

 JA松山市によるキャベツとジャガイモ無償配布は13日まで、JAの浮穴・余土・味生・久枝・三津・久米・小野支所で8時40分から実施する。各回、なくなり次第終了。

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