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「いよ本プロジェクト」主催の岡田有利子さん、教育文化奨励賞受賞

関奉仕財団・第15回教育文化奨励賞の表彰状を手に受賞を報告する岡田さん

関奉仕財団・第15回教育文化奨励賞の表彰状を手に受賞を報告する岡田さん

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 伊予市内で「いよ本プロジェクト」や私設図書館「みたにライブラリー/ビブリオAA」(伊予市上三谷)の運営を手掛ける岡田有利子さんが3月16日、関奉仕財団の第15回教育文化奨励賞を受賞した。

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 公共図書館で司書を務めていた岡田さんが「いよ本プロジェクト」を立ち上げたのは2019(平成31)年1月。設立のきっかけについて岡田さんは「図書館は本と人の出合いの場で、公共図書館にしか果たせない大きな役割があるが、本と人がもっと相乗効果で出会いを広げられる場を作りたかった」と話す。

 「本好きというと静かなイメージがあるが、おとなしそうな外見とは裏腹、地味にアクティブなのが岡田さんの凄いところ」と評するのは、伊予市在住の知人女性。「興味の対象はため池から神社仏閣、自然、建築、切手にベルマークまでとにかく幅広く、情報が多くて博識な令和系オタク体質。伊予市内のみにリミットを絞らず、県内外問わず興味があれば飛びつく嗅覚と、やりたいことを実行に移す自由な行動力に敬意を感じている」と岡田さんの魅力を語る。

 「最初の活動は、地域おこし協力隊から引き継いだ『持ち寄り本を紹介する交流会』だった」と岡田さん。2019(平成31)年1月に始めた交流会は、第一部を「持ち寄り本の紹介」、第二部を専門家でも何でもない普通の人たちが本について語る『ミニ講演会』として継続し、今年3月までに24回を開催。このほかにも「本とつながる場所、人とつながる時間」をコンセプトに、参加交流型イベントの開催を続けている。

 2019(平成31)年8月には私設図書館「ビブリオAA」を開設。同館は、近所に事務所を構える建築家の武智和臣さんがアトリエとして使っていた建物を好意で借り受けたもので、建築関係の蔵書2200冊をはじめ、約3700冊の蔵書を揃える。岡田さんは「図書館もイベントも、一人の力ではなく、楽しさに共感して仲間に加わってくれた大切な人たちとの関わりの中で生まれてきたものばかり」と感謝を口にする。

 「あなたも本のわらしべ長者」をコンセプトに古本交換会を始めたのは2020年3月。前年3月から行っていた古本市を、運営メンバーのアイデアで「家庭で不要になった本1冊と好きな本1冊を交換できるイベント」に模様替えしたところ好評を得て、毎回多くの来場者が訪れる人気の催しに成長した。現在は伊予市の「手づくり交流市場・町家」に古本交換棚も常設し、地域の交流の場として親しまれている。

 「いよ本プロジェクト」のホームページには「それはまるで/星空のように/私たちは本でつながる」という岡田さんの言葉が綴られている。

 「本も好きだが人も好き。本を通じて出会いの場を作り、そこから生まれるもので人生をより豊かにしたい」と岡田さん。「プロジェクトに関わってくれる人たちはみんな、楽しさで繋がっていると思っている。活動の内容が変わることはあっても、目的はそのままに、これからも一つ一つ活動を積み重ねていきたい」と抱負を語る。

 現在の活動は、テーマに沿った本を持ち寄って紹介し、交流を深める「いよ本プロジェクト交流会」、手放してもいい本を好きな1冊と交換できる「古本交換会」と私設図書館の開館。イベントや開館日の予定はホームページで知らせる。

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