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松山・三津の「ギャラリー吉川」で大塚恭子さん水彩画展「三津の古民家」

三津の風景を描いた大塚さんの作品「杉本貞子さん」(左)、「遠藤味噌(みそ)醸造場」(右)

三津の風景を描いた大塚さんの作品「杉本貞子さん」(左)、「遠藤味噌(みそ)醸造場」(右)

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 松山・三津のギャラリー吉川(松山市三津1)で3月18日から、「三津の古民家」をテーマにした大塚恭子さんの水彩画作品展が開かれている。

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 広島出身の大塚さんが父の仕事の都合で松山へ移住したのは1943(昭和18)年、2歳のころ。子どものころから花や人物の絵を描くことが好きだった大塚さんだが、小学生になるころには中原淳一が描く女性誌「それいゆ」の表紙絵を鉛筆やクレヨンで模写することが多くなったという。

 小学校中学年のころには、毎日描いていた絵日記などが学校で評価を受けるようになった大塚さん。愛媛現代美術家集団の発起人で戦後の愛媛を代表する洋画家、岡本鐡四郎氏に師事した時期もあった。

 個展を企画したのは絵画仲間の向井美佐さん。2019(平成30)年に大塚さんが脳梗塞で倒れ、妹が住む広島へ移る際、大塚さんが描いた全ての絵を預かったことがきっかけだった。大塚さんの絵を見直しながら「三津の古民家を描いた絵の個展は、三津でやらなくては」と思い立ち、たまたま食事に訪れた三津浜焼き店に隣接する同ギャラリーを知って、個展の実現にこぎ着けたという。

 今年80歳を迎え、現在は広島の施設で暮らす大塚さん。脳梗塞から回復した後も絵を描くことはやめず、現在は左手で季節の花や施設入居者、スタッフなどを意欲的に描き続けている。

 近隣に住む来場者からは「大塚さんの絵からは『三津に住んでいるからこそ分かる三津の良さ』を感じてしまう。三津の街の温かみまでもが絵の中にある」「自分の住んでいる家が描かれており『私の家ってこんなにいい家なんだなぁ』とずっと眺めていた」との声が、県外の来場者からは「穏やかな町なんだなと感じる。この絵のように、この町の風景も変わらず残ってほしいと願ってしまう」などの感想が寄せられている。

 大塚さんの妹は「たくさんの絵を描いていた姉だが、三津の絵は特に気に入っていた」と話す。2011(平成23)年12月に出版された「三津の古建築ものがたり」(池田由美著)では、現存する三津の古民家などを紹介する「三津散策まっぷ」の制作を大塚さんが担当。「毎日三津に通って描いた」というマップには、三津の味や文化、歴史などが、コメントや紹介文と共に温かい筆致で盛り込まれている。

 開催時間は9時~16時。入場無料。今月31日まで。

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