双海町の産品と魅力を全国に届ける「ふたみおうち便」の上田沙耶さんが9月1日、旬のグリーンハウスミカンを使った「双海まるごとみかん入りゼリー」を発売した。
新商品の開発は、柿農家を営む傍ら、野菜や果物の瓶詰め加工製品を販売している「farmar's kitchen HIMARINO(ファーマーズキッチンひまりの)」(喜多郡内子町)谷岡真依さんとのコラボで実現したもの。9月上旬のごく短期間に出荷されるグリーンハウスミカンを丸ごと1個、双海産極早生ミカン100%ストレートジュースのゼリーに閉じ込めて、海に沈む夕日のようなスイーツに仕上げた。
「上田さんとの出会いは、愛媛県が開催する6次産業化マーケティングの勉強会だった」と谷岡さん。双海町が大好きで双海の特産品を作りたい、双海のファンを全国に増やしたいという上田さんの思いに共感して意気投合し、農産物加工のノウハウを生かして瓶詰めタイプのゼリーを提案。商品化にこぎ着けた。
「当初はミカンゼリーなんて簡単、と思っていたが、予想外の苦労があった」と谷岡さん。「酸度の高い極早生ミカンのストレートジュースはゼリー状に固めるのが難しい素材。素材のおいしさを生かし切るため、極限までミカンの濃度を高くしようと、1カ月にわたって試行錯誤を重ねた。『恋人の聖地』と呼ばれる双海の夕陽を眺めながら、旬のおいしさを凝縮したスイーツを楽しんでほしい」とも。
上田さんは「シロップ漬けのグリーンハウスミカンとストレートジュースの他にはゼラチンしか使っていない『果汁91%の超みかんなゼリー』。酸味と甘味のバランスが取れた大人の味わいに仕上がった」と自信を見せる。ゼラチンのみを使って滑らかな食感にこだわったため、常温では液体になり、冷蔵庫で冷やすと固まる。しっかり冷やしてゼリー、少し緩めててジュレ、凍らせてシャーベットなど、さまざまな食感を楽しんでほしい」と購入を呼び掛ける。
「商品の製造では楽農研究所(喜多郡内子町)の加工場で力を借りた。一つ一つミカンの皮をむき、白い筋を取っていく作業は本当に大変だった」とも。「製造の現場を肌で学んだ経験は今後に生かしたい。双海では多くのかんきつ品種を栽培しているので、今後は高級品種の甘平や愛果28号(紅マドンナ)などのゼリーも開発できれば」と意欲を見せる。
上田さんが土日限定で営業するJR上灘駅前の「喫茶ポパイ」(伊予市双海町)で 「双海まるごとみかん入りゼリー」を購入した松山市内の女性は「ミカンそのものの味が濃くて、しっかりした食べ応えと満足感を感じる。口の中で溶けていくゼラチンの優しい食感も新鮮で、一口一口大切に味わいたいスイーツ。本場のミカンのおいしさをそのまま届けたい、という生産者の真摯な気持ちを感じる」と話す。「しっかりした酸味のあるゼリーだが、4歳の娘はペロリと平らげてしまった。都会に住む友人にも、この産地ならではの味を届けたくなった」と笑顔を見せる。
「双海まるごとみかん入りゼリー」(500円)は限定300個。常温保存可能で、賞味期限は6カ月(今回製造分2021年2月28日)。道の駅ふたみ(伊予市双海町)の売店と、「喫茶ポパイ」(双海町)で販売するほか、「ふたみおうち便」でオンライン販売も行う。