大学生のスキルアップ・就活サポートなどの事業を手掛けるEIS(松山市木屋町3)代表の西村友祐さんが9月28日、採用をテーマにしたオンラインセミナーを開催する。
西村さんは「人脈・土地勘共にゼロの愛媛に移住して、2年で550人を超える学生とのコネクションを作り上げたノウハウや、学生・企業双方とのつながりを通じて見えてきた新時代の採用のあり方について、これまでの経験を全て公開したい」と話す。タイトルは「新時代の採用ノウハウ大公開セミナー」。
2019(平成31)年設立の同社は「愛媛の大学生をアップデートする」を理念に、就職支援やスキルアップ講座、コミュニティー運営などを行う傍ら、行政が運営する就職支援センターと連携して企業の採用アドバイザーも手掛けている。
昨年4月には、コロナ禍で自宅待機になってしまった子どもたちと大学生を結び付け、オンライン家庭教師サービス「CONNECT(コネクト)」を始動。今年5月にはオンラインビジネス塾「NeoEvolve」を立ち上げ、地元企業7社と大学生40人が参加してつながりを深めながら学ぶ場を提供しているほか、8月にはデジタル化推進を目指す地元企業を支援する一般社団法人「えひめDX推進機構」を設立した。
西村さんは「就職で県外に出たいという学生も、何か明確な目的があるのではなく、漠然と『外に出たらチャンスがあるような気がする』と思っていることがほとんど。自分自身、愛媛に出てきて多くの地元企業と関わる中で『何て面白い企業がたくさんあるんだろう』というワクワク感と同時に、『この面白さを学生に伝えられていないなんてもったいなさすぎる』というジレンマを抱え続けてきた。愛媛の就活を変えることで、学生にも地域や地元企業の魅力や、経営者が日々感じているワクワク感などにも触れてほしい」と話す。
西村さんは高知県梼原町の出身。地元で5年間にわたって塾長として学習塾の運営に携わった経験から、「地域は学校とは違い、幼少期から大人になるまで長く接し続けることができる貴重なポジションにある」という。
「学生と企業、双方の視点から今の『就活』を見たときに、一番の問題は企業と学生の双方が『点』だけで活動している状況だと感じている」と西村さん。「本来ならば互いに接点を増やし、双方が手の内をしっかりと見せ合った状態で働く場所を探すことが理想なのに、現状は真逆。点でしか接しない新卒一括採用と、一度転職したらゼロから全てやり直しになってしまうような転職市場を地方発信で変えていきたい」と意欲を見せる。
「一つの理想は、プロ野球のドラフト会議のような『採用に関わる地域企業のコミュニティー』を形成すること」と西村さん。「ドラフト会議では、選手が育つ様子を長く見守り、能力ある人材に着目して交渉し、採用する。入団後には、トレードや移籍といった選択肢もあり、適材適所で人材を有効活用するシステムが機能している。地元に根差して経営を続ける企業が、地域という学校で連携して若い世代を育て、情報を共有できる体制を作ることで、能力ある人材が愛媛で活躍し続けられる土壌を作っていきたい」と期待を込める。
「学生の就活支援でエントリーシートの添削をしていくと、一枚の紙の中に本人の実像とは異なる別人ができ上ってしまうことがある」と西村さん。「企業が何を求めているのか、学生が本当に考えていることは何なのか、どちらも本当の答えを知らず、先入観と予測だけで動いてしまっているのが現状。学生のリアルを知り、採用をアップデートして悩みを解消して、企業や地域の活力向上にもつなげてほしい」と参加を呼び掛ける。
開催はオンラインで13時30分~15時。参加無料。参加申し込みはサイトで受け付ける。リアルタイム参加できない人のために、事前申し込みがあった場合に限りイベントの動画アーカイブを限定公開する。