愛媛の官民共創デジタルプラットフォーム「エールラボえひめ」が10月10日の「デジタルの日」に合わせて、オンラインと東京拠点「渋谷キューズ」(東京都渋谷区)をつなぎ、地域課題解決のアイデアを募るイベントを行った。
「エールラボえひめ」は、「自分たちの周りにある地域課題を自分たちの力で解決するためのプラットフォーム」として、今年4月に発足した愛媛県のプロジェクト。これまでに、同じ課題意識や関心を持つ会員が集まる「コミュニティー」26件と、課題解決に向けて実際に活動に取り組む「プロジェクト」25件が登録されており、毎月のイベントなどを通じて連携を深めながら活動を行っている。
イベントは、渋谷キューズでのパブリックビューイングとオンラインのハイブリッドで実施。第1部の対談「DXの時代、住民が主役で作るまちづくり」に続き、第2部では「みかんの国愛媛×渋谷のアイデア会議」と題して3人のプロジェクトオーナーがそれぞれの課題についてプレゼンテーションを行い、参加者からアイデアを募るセッションを行った。
東京会場のパブリックビューイングには10人、オンラインでは56人が参加。第2部のアイデア会議には、「明浜みかんを残したい」のテーマで西予市明浜町の「天晴農園」が登壇したほか、久万高原町からは「LPWA通信網を活用したい!」、宇和島市からは「遊びながら学べるキャンプ場を作りたい!」の3課題が発表された。
コミュニティーマネジャーを務める武市栞奈さんは「『まじめなえひめ』は昔から受け継がれてきた気質。何とかしたい課題があったとき、それを自分たちで解決しようと頑張る誠実さが『まじめ』の本質と捉えている」と話す。
プロジェクトオーナーに今回の成果をしっかり残して手渡したいと、オンラインツールの活用にも工夫を凝らした。アイデア会議では、オンラインホワイトボード「miro」を活用。参加者全員がリアルタイムで自由にアイデアを投稿し、イベント終了後もウェブ上で閲覧できる環境を整えた。
武市さんは「例えば『明浜みかんを残したい』という課題の裏側には、人口減少に伴ってブランドを支えていた共選が合併。代々受け継ぎ守り育ててきたミカンの地域ブランドが消滅の危機に瀕しているという切実な状況がある」と話す。
参加者からは「明浜みかんを応援する人の地域コミュニティーを作り、定期的にミカンがもらえるシステムを作ることで『冬になると誰からともなく宅急便でミカンが送られてくる』という『愛媛出身者あるある』の面白さを再現する」「4人の若手生産者が個性を生かしてユーチューバーになり、世界に明浜みかんを広める」などから、「収穫繁忙期の農業アルバイト確保に欠かせない宿泊施設の整備と資金調達について」などの現実的なプランまで幅広い意見が提案された。
今月16日には宇和島市の「遊びながら学べるキャンプ場を作りたい!」を、19日には「明浜みかんを残したい!」のプロジェクトを応援するオンライン作戦会議の開催が決まっている。
「今回のイベントは、たくさんの人からアイデアをもらう、第一歩の位置付け」と武市さん。「今後は、提案されたアイデアの中から実効性のあるものを選び、各分野の専門家つながりを作りながら実行に移すプロセスを支援していく。賛同者や興味を持ってくれる人を巻き込みながら目標を実現させ、多くの人が継続的に関わり続けることのできる仕組み作りにつなげていきたい」と意欲を見せる。