松山や大洲を舞台に撮影が始まる小野川浩幸・石原理衣監督の短編映画「寓-GUU-」の記念イベントが同18日、シネマルナティック(松山市湊町3)で行われる。
小野川さんは30年以上にわって活躍している映画音楽家。近年は映画音響全般に加えてプロデュースも手掛けており、これまでに携わった作品では、オスロ映画祭グランプリ、ソチ映画祭審査員特別賞、カンヌ国際映画祭「ある視点」部門審査員賞受賞をはじめ多くの賞を受賞している。
「商業映画に長く携わる中で、日本の映画に個人的な行き詰まり感を感じていた中、妻の出演を通じて松下ユリア・エリカ姉妹の映画に出合った」と小野川さん。「和気あいあいとした現場の雰囲気や、自由奔放に何のしがらみもなく映画を作っている人がいるということに心の底から驚き、クリエーティブ精神を大いに刺激されて、初の短編映画監督に挑戦することを決意した」と話す。
新作映画では小野川さんのオファーを受け、松山市を拠点に活動するアーティスト、松下ユリア・エリカ姉妹が原案を提供。現地コーディネートや衣装制作、美術、ヘアメークなど全てのアートディレクションを担当している。
イベントでは、2本の映画上映とトークセッションを開催する。上映作品は、松下ユリア監督の長編映画「赤糸で縫いとじられた物語」と、小野川さんが音楽を担当した深田晃司監督・浅野忠信主演の映画「淵に立つ」の2本。トークイベントには、小野川さんと妻で女優の石原理衣さん、松下ユリアさん、エリカさんの4人が登壇する。
ユリアさんは「小野川さんが私たちの初めての長編映画を気に入って『いい作品なので、サウンド面も世界レベルにブラッシュアップすべき』とサポートを申し出てくれた。アフレコをやり直し、スタジオで全ての音を調整し直してもらって映画の完成度が格段に上がった。小野川さんのサポートがなければ、今のように多くの国際映画祭で受賞することはできなかったと本当に感謝している」と話す。
小野川さんは「彼女たちの芸術センスと、作品に登場する子どもたちの繊細な表現力に大変感動し、ぜひ一緒に映画を製作したいと初監督作品の舞台を愛媛に決めた。映画を通じて愛媛の魅力を世界に発信したい。目標はカンヌ国際映画祭」と意欲を見せる。
新作映画の舞台には、三津の古民家や大洲の臥龍山荘などが登場する。昭和初期の江戸川乱歩のような世界観で衣装も着物がベースだが、エリカさんのリメークやユリアさんのアートディレクションで現実とは異なる幻想的でアーティスティックなものに生まれ変わっているという。
ユリアさんは「私たちの長編映画『赤糸で縫いとじられた物語』は、まだ日本のスクリーンで上映したことがなかったので、地元松山で初めてお披露目できてとてもうれしい」と話す。
「小野川さんの制作チームとのコラボで『何じゃこりゃ』と言われるような、アーティスティックで変な、魅力あふれる短編映画を作り上げていきたい。トークイベントでは、日本の映画界に一石を投じたいと思っているぶっ飛んだ4人が新しい映画の制作に取り組んでいる雰囲気や面白さを伝え、地元の人にも『こんな人たちが愛媛で映画を作るんだ』と知ってもらう機会になれば」と来場を呼び掛ける。
「赤糸で縫いとじられた物語」の上映会とトークイベントは17時30分~19時40分。「淵に立つ」の上映会は20時~22時。入れ替え制で、定員はそれぞれ160人。料金は共に、大人=1,000円、小中高校生=500円。予約はホームページで受け付けている。