松山のシネマルナティック(松山市湊町3)で12月25日・26日、ドキュメンタリー映画の上映会とトークセッション「映画と対話で考える世界のダイバーシティ」が開催される。
NPO法人「カコア」(三津2)がコロナ禍で低迷が続く映画業界を応援したいと、松山ブンカ・ラボ(花園町4)の協力で企画した。コロナ禍を乗り越えるための文化芸術活動支援事業「Arts for the Future」の助成を受けて実施する。
イベントでは、1989(平成1)年に始まったアジア初の国際ドキュメンタリー映画祭「山形国際ドキュメンタリー映画祭(YIDFF)」の上映作品から、ダイバーシティをテーマに選定した「ラ・カチャダ」「ユキコ」「コーナーズ」「築巣人(ちくそうにん)A Rolling Stone」の4本を上映。上映後、それぞれの分野に造詣の深いゲストを招き、トークイベントを行う。
25日には前夜祭としてYIDFF理事の阿部宏慈さんが基調講演「地方における国際映画祭のあり方」を実施。映画監督の佐々木誠さん、愛媛で会員制の自主上映会を主催する「マネキネマ」の石川誠二さん、カコア代表の徳永高志さんが「国際映画祭とは何か」と題してシンポジウムを開く。
特別上映では、四肢軟骨無形成症(通称=コビト症)の青年が主演・監督を務めた映画「愛について語るときにイケダの語ること」を四国初上映。シンポジウム登壇の4人が「ドキュメンタリーの虚実皮膜」と題してトークセッションを行う。
カコアで広報を担当する入江初美さんは「YIDFFの上映作品はいずれも『映画として面白い』ことを重視してえらばれたものばかりで、今回も選考委員を務める阿部さんがイベントのテーマに沿ってアーカイブから厳選した作品を上映する。エルサルバドル、フランス、台湾から届いた作品は、いずれも『ドキュメンタリー』と聞いて想像するものを超える素晴らしい作品ぞろい。この貴重な機会に、ぜひ足を運んでほしい」」と来場を呼び掛ける。
「上映作品では、ジェンダーやLGBTQ、外国人、障がいなを描いている。私たちは、先入観やイメージで勝手なカテゴライズをして、出会ったその人たちや取り巻く問題の本質に辿り着いていないのではないか。それは社会全体からの無意識な同質性の強要となり、傷つけたり苦しめたりしているのではないか。丁寧に向き合って製作された映画と、上映後ゲストとの対話、その両方を通じて、テーマについて深く考え、知るきっかけにしたい」と期待を寄せる。
「愛媛でも2019年から『愛媛国際映画祭』が開催されている。イベントを機にいろいろな立場の人が集まることで、地方の映画祭のあり方について考え、映画館や映画文化のサポートにつなげることができれば」とも。
25日の基調講演とシンポジウムは17時~18時10分。入場無料。特別上映「愛について語るときにイケダの語ること」とトークセッションは18時40分~20時50分(1,000円)。26日の上映会とトークは、1作品=1,500円。1日通し券=5,000円。来場者にはコロナ対策のため、無料を含むチケットの事前購入・精算を呼び掛ける。