松山の「3ta2(サンタニ)ギャラリー」(松山市高井町、TEL 089-970-1043)で3月5日から、愛媛県在住のアーティスト早崎雅巳さんの個展「Snow Boots」が開かれている。
早崎さんは松山市出身で1967(昭和42)年生まれ。東温市を拠点に、絵画をはじめ、ボディーパフォーマンスや映像、インスタレーション、アートイベントのディレクションなど多彩な活動に取り組んでいる。
早崎さんの絵画作品は、木炭で書いた輪郭線と、べったりと塗ったアクリル絵の具の組み合わせが特徴。木炭とアクリル絵の具の組み合わせについて、早崎さんは「塗りたくったアクリル絵の具は肉体のイメージ。肉体はやがて土となって、いい土になれば幸せ。木炭で書いた輪郭線は粒子の塊で、定着させないとすぐに飛んでいってしまうようなもの。大気に紛れる魂、人の営みのようなものを描き上げているイメージ」と話す。
2021年に松山市内のギャラリー「リブア-ト」(湊町4)で開いた個展「Humid Soil(ヒュミッド ソイル)」では、作品に寄せて「やがて肉体は解け落ち 分解され 肥沃な土となれば幸いでしょう/残った芯は 小さな粒子となり 大気に紛れ 私たちを俯瞰(ふかん)することでしょう」という自作詩も発表するなど、絵画だけではなく、さまざまな手法でメッセージを発信している。
早崎さんとの出会いについて、3ta2ギャラリーの三谷恵子さんは「元々地元で活躍しているのは知っていたが、直接の出会いは10年ほど前の個展のときだった」と振り返る。
「植物と人が侵食し合う印象の作品で、生命体としてのスケールに衝撃を受けた」と三谷さん。その出会いをきっかけに、2013(平成25)年7月、3ta2ギャラリーで個展「Linas as(リアーナス アズ) つる性植物として…」を開いた。
三谷さんは「前回の個展は人物画を中心としたドローイングがメインだったが、今回は具象と抽象の表現が混ざり合う作品で、またひと味違った魅力を感じている」と話す。
「早崎さんの作品からは、一見するととても繊細で触れてはいけないかのようなような印象を受けるが、じっくり向き合うにつれて、人物画を通して社会性のあるテーマを表現していることや、パッションにあふれた作品であることに気付かされる」と三谷さん。「早崎さんの描く人物には、性別や年齢を超えてフラットな感覚がある。作品と向き合う中で、自分が何者でもない感覚を得られるのも大きな魅力の一つ」とも。
開催時間は11時~17時(最終日は16時まで)。入場無料。今月13日まで。作家在廊の予定は、早崎さんのフェイスブックなどで発信している。