愛媛信用金庫道後支店(松山市道後湯之町)ロビーで現在、ペン画作家・杉山浩一さんの「ペン画で描く道後温泉の足跡展」が開催されている。
杉山さんはペン画という点描技法でボールペンを使い、点と線のみで風景を描き出す。杉山さんの父は20年以上前から明治からの下町の古い木造建築を描き続けている杉山八郎さん。浩一さんは幼少のころから父の後ろ姿を見て育ち、八郎さんの助手をしながら、ペン画は独学で学んだという。懐かしい風景や建築物を描く八郎さんに対し、浩一さんは懐かしい風景の中に現代の新しい建物を加えて描くなど、父とは違う作品を展開している。
建て直し計画のある道後温泉を杉山さんが写真ではない技法で描き留めておきたいという思いと、松山の人にもその姿を見てほしいという2つの思いから、同展を開くという。「ペン画は高齢の世代の人が見られると懐かしがられる。観光地である松山の歴史的建物を観光客の人にも見てもらい、ペン画による木造建築の質感やペン画を知らない若い世代にも知ってもらえれば」と杉山さん。
今回の企画展では、杉山さんが描いた松山の歴史的建造物「道後温泉」や「万翠荘」のほか、東京・下町の様子を展示。道後温泉が描き上がるまでの下書きから完成までを10枚のペン画で記録した過程も同時に紹介する。28日・29日の2日間限定で、「道後温泉」と「万翠荘」の原画も展示。
「以前、東京の企画展で道後温泉の絵を展示した際、松山の人によく声を掛けられ松山との縁を感じた。今後も東京と松山をつなぎペン画や松山の良さをPRしていければ」と杉山さん。「複製と原画だと色味や細かい線が異なるので、原画の迫力も感じてもらえたら」とも。
開催時間は9時~15時。土曜・日曜・祝日定休。入場無料。7月20日まで。