ヤマキ株式会社(本社:愛媛県伊予市 代表取締役社長:城戸善浩 以下ヤマキ)は、立命館大学・武庫川女子大学本田研究室・早稲田大学野中研究室と共同で、2025年11月16日(日)に「かつお節ワークショップ」を開催しました。本ワークショップは、イノベーション創出人材の育成を目的とした立命館大学「EDGE+Rプログラム」の一環として実施されたものです。
今年は「かつお節・だしの価値・魅力を未来へ伝えるアイデアを共創」をテーマに、38名の学生が参加。調理科学とシステムデザインの手法を通じて、かつお節・だしの魅力を新たな視点で捉え直し、未来の食文化へとつなぐアイデア創出に取り組みました。

■実施背景
ヤマキと立命館大学は、2022年より「EDGE+Rプログラム」の一環として「かつお節ワークショップ」を開催しており、今年で4回目となります。「かつお節」という日本の食文化を象徴する素材を題材に、調理科学とシステムデザインという異なるアプローチを融合し、次世代の発想力を育むことを目的としています。
今回のテーマは「かつお節・だしの価値・魅力を未来へ伝えるアイデアを共創」。立命館大学・武庫川女子大学・早稲田大学に加え、大阪公立大学・近畿大学・京都芸術大学の学生も参加し、昨年度を上回る規模での開催となりました。ワークショップでは、伝統的な食材である「かつお節」の持つ本質的な価値を、調理科学とシステムデザインの手法を用いて多角的に捉え直し、生活者や社会にその魅力をどのように届けていくかを探求しました。
■ワークショップ概要
今回のワークショップは、講義とグループワークの2部構成で実施しました。講義では、ヤマキ社員に加え、調理学を専門とする武庫川女子大学の本田智巳講師、生産システム工学・サービス工学を専門とする早稲田大学の野中朋美教授が登壇し、かつお節・だしの魅力や科学的な役割、アイデア創出のための思考法について解説しました。その後、参加学生は学んだ知識をもとにグループに分かれ、生活者視点を取り入れたアイデアを検討。ヤマキ社員もアドバイザーとして加わり、最後はスキット形式で提案を発表しました。
日時 : 2025年11月16日(日)
場所 : 立命館大学 大阪いばらきキャンパス(大阪府茨木市)
参加者数 : 38名
登壇者 : 武庫川女子大学 食物栄養科学部食創造科学科
講師 本田智巳
早稲田大学 創造理工学部経営システム工学科教授
兼 立命館大学 客員教授 野中朋美
ヤマキ社員 6名

内容 :
講義Part.1 「かつお節・だしの魅力や価値を学ぶ」(ヤマキ)
かつお節・だしの機能性や、ヤマキのCSV(Creating Shared Value)活動およびSDGsへの取り組みを紹介。また、今回は初めて五感を通じて学ぶプログラムとして「かつお節削り体験」を実施し、削りたてのかつお節をごはんにかけて試食しました。
講義Part.2 「かつお節・だしのチカラを科学で紐解く」(本田講師)
調理科学の観点から、だしやかつお節が料理の中でどのような機能を担い、味覚・嗜好性・調理プロセスにどのような影響を及ぼすのかを構造的に解説し、食品としての役割と未来の可能性について考察を深めました。
講義Part.3 「システムデザイン思考の基本」(野中教授)
思い込みや先入観を取り払い、複数の視点で発想すること、俯瞰的な視点で全体構造を捉えることの重要性について解説した後、「システム×デザイン思考」の基本的な進め方や、多様なアイデアを形にするための具体的なプロセスについてレクチャーしました。
グループワークと発表(ファシリテーター:野中教授、本田講師)
ワークテーマ 『調理科学×システムデザインを駆使し「未来へのアイデア」をデザイン』
7つのグループに分かれ、ターゲットや生活者のインサイトを整理しながら、アイデアを具体化。最後は、スキット形式にて発表しました。
■ワークショップの様子
「かつお節削り体験」では、学生たちから「削りたては全然ちがう」「香りがすごい」といった声が上がり、五感を通じてかつお節の魅力を実感する場面が多く見られました。
グループワークでは、大学生ならではの柔軟な発想やユニークな言葉選びを生かした多様な提案が出されました。さらに、たんぱく質の豊富さや減塩、苦味抑制といった機能性にも関心が向けられ、生活シーンやコミュニケーションのあり方にまで踏み込んだアイデアが共創されました。

ワークショップで会場に語りかける本田講師
生まれて初めてのかつお節削り体験 削りたての香りに感動!

柔軟な発想で商品やコミュニケーションのアイデアを共創 
スキット形式によるアイデア発表
■講師コメント
武庫川女子大学 食物栄養科学部食創造科学科 本田智巳講師

今回のワークショップでは、かつお節という素材を通して、その機能や魅力を科学的に見つめ直し、食文化として受け継がれてきた価値を再発見することを大切にしました。調理科学のパートでは、だしやかつお節が料理の中でどのように働き、味覚や体験にどのような影響をもたらすのかを科学的に整理し、学生のみなさんがアイデアを構築するうえでの基盤となる知見を提供しました。発表では、おいしさだけにとどまらず、多様な視点からかつお節の価値を捉え直した提案が生まれ、素材への理解を深めたプロセスがうかがえました。今回の学びが、日常的な食の営みを再解釈する視座の形成につながれば幸いです。
早稲田大学 創造理工学部経営システム工学科 教授・立命館大学 客員教授 野中朋美

かつお節・だしという伝統的な食材を「未来の価値」として再設計するためには、多様な視点から価値を形づくる構造を分析・可視化するプロセスが欠かせません。今回のワークショップでは、学生のみなさんが調理科学・五感での体験・生活者視点を組み合わせながら、価値創造のストーリーをグループで試行錯誤し、組み立てていく姿が印象的でした。システムデザインとは、問いを立て、大規模・複雑なシステムを構造化・可視化し、多様な視点から価値を捉え直して、未来をデザインしていくアプローチです。また、多様なメンバーが協業し、それぞれの専門性や体験を持ち寄りながら価値を磨いていくことも重要です。今回の経験が、食の領域に限らず、
これからの社会課題に向き合ううえで生かしてもらえることを期待しています。
■立命館大学「EDGE+Rプログラム」について

立命館大学「EDGE+R」は、イノベーション創出を担い得る次世代の育成を目的とした正課外の実践型プログラムです。多様な受講生メンバーから作るチームで行うPBL(Project-Based-Learning)を主軸とし、チームメンバーと協働して新たな価値創造(イノベーション創出)の面白さを体感する中で、課題を創造・実行・達成する為に必要なマインドとスキルを実践的に身につけることを目指し、様々なプログラムを用意しています。全学部/研究科の学生、若手研究者、社会人、附属校の小・中・高校生や他大学生など幅広く多様な受講生を集め、チームを作り、本学研究室の技術シーズ、連携企業ニーズ、社会的ニーズなどをもとに、課題抽出・課題形成・課題解決のサイクルを回すPBL型プログラムです。多くのプログラムが「多様性」と「チーム」をキーワードに、自主自律のチーム活動を通して、新たな価値創造の「意義」と「プロセス」を体験する正課外の実践型学習です。
立命館大学「EDGE+Rプログラム」 HP
https://www.ritsumei.ac.jp/ru_gr/edge/
立命館大学「EDGE+Rプログラム」 紹介動画
https://www.youtube.com/watch?v=uUruRgXM3mw
■かつお節の魅力を広める「ヤマキ かつお節プラス(R)」
ヤマキでは、生活者の皆さまにかつお節の価値や魅力を広める活動として、「ヤマキ かつお節プラス(R)」を展開しています。
かつお節を“プラス”することで、生活がちょっと“プラス”になる情報をお届けしています。
「ヤマキ かつお節プラス(R)」WEBサイト:https://www.yamaki.co.jp/katsuobushi-plus/

ヤマキは、「鰹節屋・だし屋、ヤマキ。」として鰹節とだしを通じて、「おいしさ」と「健康」、そして「食文化の継承・食資源の持続性確保」に貢献してまいります。
https://www.yamaki.co.jp