松山市の伊豫豆比古命神社(松山市居相2、通称椿(つばき)神社)で2月11日~13日、恒例の「椿まつり」が行われた。
例年、旧暦の正月8日を中心とした前後3日間に開催される季節行事。初日の0時に大太鼓が祭りの開始を告げて以降、最終日の24時まで72時間にわたり昼夜を問わず行われ、約40万人の参拝者でにぎわう。
期間中は国道33号線の交差点から神社までと、はなみずき通交差点から神社までの、合わせて1.5キロの県道で車両の通行が全面遮断され、歩行者専用となる。道の両側には縁起物の「熊手」や「おたやん飴(あめ)」をはじめ、約500の露店が並ぶ。
椿まつりでは、全国的に珍しい「貸銭(かしぜに)神事」が行われる。参拝者が誰でも無条件で小額の守り金(20円)を借りることができるというもの。今年一年間仕事に励み、来年無事に「倍額(少しでも多く、の意)」を返して参拝できるよう、頑張ることを約束する意味があるという。
「伊予路に春を呼ぶまつり」としても親しまれており、椿まつりが終わると寒さが緩んで暖かさを感じられる日が増えるといわれている。旧暦の1月8日前後(本来は、立春に近い上弦の初期)と時期を定めて開かれることから、晴れた日の夕方の空には毎年上弦の月の姿を見ることができる。今年は3日間を通して晴れの天気に恵まれ、夕方から夜にかけて、白い上弦の月が高い位置に見えた。