松山市が主催する全5回の無料講座「データサイエンティスト育成講座」が10月12日に開講。10月14日まで、受講生の募集を行なっている。
人工知能や、あらゆるものがインターネットにつながる「IoT」など、第4次産業革命による技術革新が進む中、経済産業省の推計によると「ビッグデータ」や「IoT」「人工知能」を担う最先端IT人材の不足は、2030年に日本国内で約45万人に上ると推計されている。
講座は大学生と社会人を対象に、これからの時代に必須となるビッグデータの解析技術などを身に付け、経営課題の解決に生かすことのできる人材を育成することを目指して松山市が主催。愛媛大学と連携し、中央会計(松山市千舟町5、TEL 089 -904-9702)が松山市の委託を受けて運営する。
講座の特徴は、学問としての「データサイエンス」を学ぶだけではなく、身に付けた技術を、実際の企業が抱えている経営課題の解決や、新しいサービスの創造に生かすことのできる人材の育成を目指していること。あわせて、普段接点の少ない「データサイエンティスト」と「経営者層」などの間に、相互理解や交流の機会を設けることで、地元企業内にこれらの最先端IT人材が定着して活躍できる環境を醸成することも目標にしている。
地方都市では、最先端のビッグデータ活用事例や、業界で活躍するデータサイエンティストに直接触れる機会がなかなか得られない点にも目を向け、粟生万琴さん、遠藤太一郎さんら、第一線で活躍する講師陣を東京から招聘(しょうへい)する。
粟生さんは自身もエンジニアとしてソフトウエア開発に従事した後、新規事業「パソナJOBHUB」(東京都千代田区)の立ち上げに関わり、関西発AIベンチャー「エクサウィザーズ」(東京都港区)の取締役にも就任した。遠藤さんは1997(平成9)年、当時18歳の頃からAIプログラミングを始め、ミネソタ大学大学院在学中に起業。現在は、東京学芸大学准教授、理化学研究所客員研究員・超教育協会理事などを兼任し、AI時代の教育に関する政府提言の取りまとめも行っている。
10月12日の第1回は、ビッグデータの活用に関する基礎的な知識を学びたい人など幅広い層を対象に「ビッグデータ等の活用に関するオープン講座」(定員100人)を開催。
第2回以降は、データサイエンティストを目指す受講生(定員20人)と、松山市内の企業経営者やマーケターなど企業の意思決定に携わる立場の人(若干名募集)がチームを組み、「ビッグデータ等の活用による経営課題解決・新サービス創出ワークショップ」に挑む。「データサイエンティスト育成講座」の受講生は、座学を通じてビッグデータ活用に関する知識を得ながら、経営者らの意見を取り入れて、課題解決策や新規サービスのプロトタイプを作成。続けて、それらが有効に機能するかの仮説検証を行い、最終回ではチームで成果をまとめて発表する。
中央会計とともに企画運営を担当するパソナJOBHUBの大田航平さんは「ワークショップ形式の講座で、先端技術と実業務データにおける実験やプロトタイプ作成と実用性の検討をおこなうことで『実際に、ビジネスの現場で役立つデータサイエンス』を身につけることを目指している。また今回の講座では、社会人と学生の交流を図ること、データサイエンスに関する技術の活用や高度人材育成の取り組みを、地元企業との協働によって地場産業へ根付かせていくことも重要な目的と考え、全体のプログラム構成に反映した。」と話す。
会場は、愛媛大学理学部(松山市文京町2)および、サイボウズ松山オフィス(二番町3)。現在、ホームページで受講申し込みを受け付けている。応募資格は松山市内の大学生および社会人。申込み締め切りは10月14日。問い合わせは中央会計(担当者=稲見、TEL 089-904-9792)まで。