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愛媛の地酒アンテナショップ「蔵元屋」、10月1日で創業15周年

蔵元屋の15周年を鏡開きで祝い、来客に振る舞い酒を用意する酒造組合メンバー

蔵元屋の15周年を鏡開きで祝い、来客に振る舞い酒を用意する酒造組合メンバー

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 愛媛の地酒アンテナショップ「蔵元屋」(松山市一番町1、TEL 089-934-5701)が10月1日に開店15周年を迎え、鏡開きなどのセレモニーを行った。

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 同店は2004(平成16)年、10月1日の「日本酒の日」に、愛媛県酒造協同組合(松山市道後湯之町)が、地酒の魅力を広めるアンテナショップとして開店したもの。愛媛県内の酒造メーカー28蔵・約150銘柄の地酒を取りそろえて小売販売を行うほか、店内で販売する全銘柄を、おちょこや60ミリリットルのグラスなどで、1杯100円から気軽に「有料試飲」できる「スタンディング・バー」スタイルの営業が特徴。同じく1品100円から、おつまみ各種もそろえている。

 各銘柄をオーダーするごとにスタンプカードにはんこが押され、一定数に達すると愛媛県酒造協同組合から認定書が送付されるほか、店内の壁面に番付札として名前が掲示されるシステムも。最高位の「天下無双」から「師範」「初段」など、遊び心あふれる「酒蔵屋ファン」の名札は千枚近い。

 店舗の片隅では、酒造メーカー特製のトートバッグやTシャツ、前掛けなどのグッズ(1,500円~3,000円)も販売されているほか、愛媛県の農業試験場が独自に育成し、2007(平成19)年に命名した清酒好適米「しずく姫」の稲穂なども飾られており、愛媛の酒への愛情や、多くの蔵元との長年にわたるつながりの深さを随所に感じることができる。

 開店4年目の2008(平成20)年から店長を務める村上雄一さんは「開店当初、愛媛の地酒の知名度は低く、デパートや市内の小売店でも、取り扱っている日本酒は全国的に有名な銘柄や、手頃な価格の大手メーカーのものばかりという状況だった」と当時の様子を話す。

 「現在では、愛媛の地酒の認知度も上がり、デパートや観光地の土産物店、市内の酒店などでも多くの銘柄が取り扱われるようになった。全国新酒品評会で金賞を受賞する銘柄も多く、2015(平成27)年には、ANAの国際線ファーストクラスに八木酒造部(今治市旭町)の「山丹政宗吟醸酒」が、2019年7月には、JALの国内線ファーストクラスに石鎚酒造の「石鎚純米大吟醸」が採用されるなど、全国的な評価も高まっている」と15年間の手応えを語る。

 村上さんは「このような酒造組合のアンテナショップが成功している例は、全国でも『蔵元屋』を含めて2件ほどと大変少ない。これも、地域のメディアや雑誌などに取り上げてもらうなど、観光客の方や地元愛媛のファンに愛され、応援してもらっているからこそ。これからもさまざまな形で、愛媛のお酒の魅力を広く伝えて行きたい」と今後の抱負を語った。

 一般にその土地の食べ物の影響を受けるという地酒の味。愛媛の酒は「瀬戸内の白身魚を中心とした淡泊な食文化に合うよう、口当たりが優しくうま味が強い」と表現されることが多いが、現在では時代の変化に合わせて、フルーティーなものやキリッとした口当たりのものなど、若い世代や女性にターゲットを絞った銘柄も増えているという。

 石鎚酒造(西条市氷見)や成龍酒造(西条市周布)などでは近年、特に食事との相性を考え、飲み飽きず、食中に活きる「食中酒」を目指した酒造りの取り組みも積極的に行っている。

 蔵元屋では15周年イベント期間中の10月1日から3日まで、1人につき、2種類各1杯の振る舞い酒を提供。清酒1本の購入につき「愛媛の地酒×蔵元屋」オリジナルデザインのおちょこ1個をプレゼントする。

 4日には、松山城公園で毎年恒例の「ほろよいフェスタ」を開催。昨年の豪雨災害で被災した大洲の「養老酒造」(大洲市肱川町)をはじめ、愛媛県下17の蔵元と、地産地消の屋台20店が出店し、一足早い秋を日本酒とともに楽しむ。季節ごとに、各蔵元の新酒発表会や、外国人観光客に向けた「Sake`s tasting experience seminar」を開催するなど、愛媛の地酒と日本酒の魅力を発信するためのさまざまなイベントを開催している。

 営業は12時~21時。月曜定休。店内の販売商品は地方発送も行う。

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