「第7回科学の甲子園ジュニア全国大会」で、愛媛県代表チームが全国5位となり「日本理科教育振興協会賞」を受賞した。
科学技術振興機構(JST)が主催する「科学の甲子園ジュニア」は、中学1・2年生を対象とした競技会。「広げよう科学の心、つなごう友情の絆」をテーマに、全国の中学生が科学と実生活のつながりに気付き、科学を学ぶことの意義や楽しさを実感できる場の提供を目的として、2013(平成25)年に創設された。
今年の予選となる都道府県大会には、全国で2万8231人の生徒がエントリー。12月6日~8日に行われた全国大会には、県予選で優勝した川之江南中学校の代表者3人と、準優勝の愛宕中学校の3人がチームを組み、愛媛県代表として出場した。
メンバーは、川之江南中学校2年の篠原琥太郎さん、長野楓大さん、宮﨑岳さんと、愛宕中学校2年玉岡颯真さん、二宮万尋さん、水口莉玖さんの6人。
競技内容は、6人が協力して挑戦する「筆記競技」と、3人ずつ2チームに別れて課題に取り組む「実技競技」の2種類。愛宕中学校の生徒が実技競技で取り組んだ「地球トライアスロン」は、川の流れにより石が削られて丸くなる円摩度を、水と石こうブロックを入れた容器をモデルにして観察し、グラフ化や計算を行う問題。そのほか、水槽で3種類の波を作り、iPadで測定・撮影して固有の振動(セイシュ)を求める問題など3つの課題が出題された。
川之江南中学校が取り組んだ工作競技「マグネティックフィールドを支配せよ」は、アクリル製のフィールドの下に磁石や電磁石を配置することで、滑り台状の出発点から転がり落ちる回転体の動きを制御し、設定されたチェックポイントを通過させる難易度の高い競技。
競技に挑戦した生徒の一人は「競技内容が発表されてから、何週間も試行錯誤を繰り返した。磁力を操ることは思っていた以上に難しく繊細。ゼロの状態から構想を練り上げ、全てのチェックポイントを通過できた時にはチーム3人全員で歓声を上げた。全国大会の舞台でも練習の成果を再現でき、この競技単独でも全国5位に入ることができた」と振り返った。
普段は別の中学校で学ぶ生徒がチームを組んで全国大会に挑むため、11月に2回の事前研修会が行われ、6人での交流や課題に挑戦する機会が用意された。
引率した愛宕中学校の都築和美教諭は「1日目の筆記競技は非公開で、引率教員は別室で待機していたのだが、競技を終えて戻ってきた生徒たちは、出発前に松山空港で合流した時とは明らかにチームとしてのまとまりが違っていた」と話す。
生徒たちも「互いに聞き合い、分かるところは教え合ってコミュニケーションを取りながら効率良く問題を解くように心掛けた」「どの問題も難しかったが、みんなで問題を解いていくうちに仲が深まっていくのを感じた。」「5位入賞は、6人全員で力を合わせ、チーム力を発揮できた成果。本当にみんなのおかげ、一人ではできなかった」など、チームワークとコミュニケーションの大切さ、楽しさをそれぞれに話す。
都築教諭は「実技も筆記も、中学2年生の学習内容の範囲ではなく、高校や大学で学習するレベルの内容。生徒たちが説明書などの内容をしっかりと読み、ヒントを見つけながら問題を解いていく姿勢が印象的だった。何にでも興味を持ち、知識だけではなく、問題を読む読解力も高い生徒たち。忙しい部活動や勉強の合間、昼休みなどの限られた時間で、できることをそれぞれが考え、努力してきたことが今回の結果につながったと」と生徒たちの努力をたたえた。