松山市内のコワーキングスペース「マツヤマンスペース」(千舟町5)が、Remo社(香港)のバーチャル会議室を利用した「マツヤマンスペースOnline」を開設している。
Remo社は、「『リモートワーク』を、無理なく自然なことと感じられる世界を作る」ことを目指し、2019年12月から会議室やオフィスとして使えるバーチャル空間サービスを提供。新型コロナウイルスの流行を受け、リモートワークツールの一つとして注目を集めている。
利用者は、それぞれの会社などが作成した「バーチャル会議室」や「バーチャルオフィス」のURLをクリックし、メールアドレスと氏名(ハンドルネーム)、パスワードなどを登録して仮想空間にログインする。
4月22日まで試験運用を行っている「マツヤマンスペースOnline」は、誰でも利用が可能。仮想空間内には、6人までが同時に会話することのできる「テーブル」が並び、それぞれの「テーブル」では目的別にチャットや音声、ビデオ通話などでコミュニケーションできる。画面上端中央に配置された「ステージ」にアイコンを移動すると、全体に向けたライブ放送をすることもでき、セミナーなどの開催にも可能。
「マツヤマンスペース」代表で「マツヤマンスペースOnline」の試験運用を開始した稲見益輔さんは「在宅ワークの課題として自身の経験からも、一人で黙々とパソコンに向かい続ける寂しさや、話したいときに気軽に雑談できる相手がいないという点を強く感じており、その点を補えるツールを以前から探していた」と話す。
「時代の流れとして、今後、リモートワークで仕事をする人は増加すると考えている。その受け皿の一つであるコワーキングスペースには、物理的な仕事の場所としての役割だけでなく、情報交換や協業の場、また、利用者間の雑談がきっかけで新しいアイデアが生まれるなどの『ソフト』面での価値も求められる」と稲見さん。
利用者からは「企業説明会などで活用できるのではないかと、自社での活用についても可能性を感じた」「デジタルでありながら、アナログなつながりを持っている気分になれて面白い」などの意見が寄せられているという。
愛媛県内で執筆活動を行う作家の田井ノエルさんは「これまでに使ったことのある他のオンライン会議システムに比べ、音声チャットの品質がよいことに大きなメリットを感じた。自宅などで執筆活動をしている作家の間では、以前からオンラインチャットにログインした状態で、特に会話をするでもなく作業をすることがあった。利用者同士で時間を合わせる必要がなく、いつログインしても誰かがいる、という点が面白い。友達同士だとだらけてしまうが、コワーキングスペースの適度な緊張感が感じられる点も利点」と感想を話す。
4月13日からは、全国のコワーキングスペースが共同で「バーチャルコワーキングスペース」を立ち上げた。「マツヤマンスペースOnline」も「バーチャルコワーキングスペース」に統合して運営を続ける。