松山の「ギャラリー リブ・アート」(松山市湊町4)で10月1日、砥部焼作家の武田小都さんと、武田さんの母で画家の藤原紅鯉さんの親子展が始まった。
藤原紅鯉さんの絵画作品(油彩・コラージュ)と小物(七宝など)
武田さんは新居浜市の出身。京都の美術大学で陶芸を学び、1990(平成2)年に砥部で最も歴史ある窯元である梅野製陶所の絵画部に入社した。4年後に独立、1997(平成9)年、砥部町川登に「陶工房Sato 土の音びと」を構え、学生時代に慣れ親しんだ信楽の土をメインに、土のぬくもりを感じる人形や絵画的な表情の器を制作している。
武田さんの作風に大きな影響を与えた母の紅鯉さんは1939(昭和14)年生まれ。「試験の無い国に行きたい、と言っていたら、絵が好きだった父親から『それなら絵でも描いておけ』と言われて美大へ進み、試験のない国で生きてきた」と笑顔を見せる。大学卒業後は28年間にわたって中学校で美術教諭を務める傍ら、油彩やコラージュ、七宝、ガラス絵などを組み合わせた幻想的な作品を発表し、県展や二紀展などでも多くの入賞歴を持つ。
武田さんの作品で今回の主役となる七福神像は、以前「おめでたいシリーズ」として制作した大黒天とえびす像の2体をきっかけに、1年半がかりで7体をそろえた力作。アフリカの布をモチーフにした器「アフリカの夜」シリーズの大皿や鉢、猫が描かれたマグカップのほか、一体ずつ異なる表情を持つ手のひらサイズの地蔵や、のんびりとした表情が特徴の「神様の休日」「隣の神様」などの神様シリーズもそろえる。
「手びねりということもあるが、どの器も人形も、そのときどきの自分の『感じ』で作った一点だけのもの。同じ人形や器を作っても、同じものは二度とできない」と武田さん。来場した女性が、いくつも並べられたお地蔵様の表情を見比べながらお気に入りの一点をじっくりと選ぶ姿も見られた。
「人形も器も、見たり手に取ったりする度にほっこり一息できるようなものを、と思っている。自分の願いを込めて作っている面もあり、手に取る人が日々の生活の中でやさしい気持ちになったり、願いや希望を投影して前向きな気持ちになったりしてほしい」とも。
「母と私、それぞれの個展は多く開催しているが、親子展は久しぶりの開催」と武田さん。
開催時間は11時~19時開催(最終日は17時まで)。観覧無料。今月6日まで。