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松山の家具製造老舗・阿部木工、「アトツギベンチャー」でDIY工房サービス

DIY工房として活用する工場スペースで、阿部木工4代目社長の阿部祥太さん。

DIY工房として活用する工場スペースで、阿部木工4代目社長の阿部祥太さん。

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 松山の老舗家具工房「阿部木工」(松山市森松町)の4代目社長・阿部祥太さんが11月18日、新サービス「DIY家具づくり体験」の提供を始めた。

阿部木工「DIY家具作り体験」体験利用の様子

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 同サービスは、個人利用(月額3,300円)、法人利用(同2万2,000円)、1回だけプラン(4,400円)の3プランを用意。工具や場所の貸し出し、職人による設計・加工のアドバイスに加え、家具の製造工程で出た端材の無償提供なども行う。

 「工場の稼働は平日の昼間のみ。空いている夜間や休日の工場を活用できないかと考える中、『DIY家具づくり体験(工具と工房のレンタルサービス)』のアイデアが浮かんだ」と阿部さん。「学生時代はホリエモンブームの時期。起業家に憧れ、自分も起業するぞと意気込んでいたが、ふと『実家に会社があるじゃないか』と気付き、この場所に戻ってきた」と笑顔を見せる。

 阿部さんは2016(平成28)年に大学を卒業。新卒でコンサルティング会社に入社したが、当時社長を務めていた父親の体調不良を受けて、半年後の10月に帰郷。家業を手伝うようになり、昨年9月に社長の座を引き継いだ。

 会社では、学生時代から積み重ねた知識と経験を次々と現場に投入。入社翌年には、CAD設計からパーツの切り出しまでを自動で行うドイツ製の最先端機器を導入するなど、工場の大幅なIT化と効率化を進め、数年で全国の木工所から視察が訪れる最先端の工場を作り上げた。

 現在、同社では主に、病院や学校、マンションなどに設置する作り付けタイプの家具製造を手掛けている。「家具の製造は全自動、ボタン一つでできるため、経験の浅いスタッフでも担当可能。木工所というと男の仕事場を連想する人が多いと思うが、工場で活躍する人の大半が女性スタッフ」と阿部さん。「仕上げや現場での取り付け作業など、熟練の技が必要な部分は昔からの職人さんが担うことで、以前よりも職人さんの本領を発揮してもらえる機会が増えた」と話す。

 同サービスでは、DIYを気軽に楽しみたい個人だけでなく、モックアップの作成や打ち合わせなどに工房を活用したい法人の利用も受け付けている。

 「DIY家具作り体験も、既存の経営資源を最大に活かして新しい挑戦をするアトツギベンチャーの感覚で始めたもの。これを機に、今後はマーケティングや広報にも力を入れていきたい」と阿部さん。「本格的なDIYを気軽に体験できる環境を提供することで、木工やDIYに興味を持ち、楽しむ人が増えれば。ゆくゆくは旅行会社やブライダルの会社と提携して、『新居で使う家具を自分の手で作るツアー』なども実現したい」と今後の夢を語る。

 DIY家具づくり体験は土曜・日曜・祝日の10時~17時、平日17時~22時で予約制。問い合わせや利用申し込みはホームページで受け付ける。

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