松山市在住のパフォーマンスユニット「Hanbun.co(ハンブンコ)」が3月20日・21日、三津浜の商店街や古民家を舞台に、コマ撮りアニメの制作を楽しむワークショップを行った。
同ユニットは、チェコアニメ作家・美術作家の山内知江子さんと、振付家でダンサーの得居幸さんが2010(平成22年)に結成。今回は地元三津浜在住のボイスパフォーマー、中ムラサトコさんとコラボして、三津の古い町並みや個性的な商店などさまざまな場所でコマ撮り撮影を行い、写真をつないで約2分の映像作品を作り上げた。
イベントを主催したのは「ツインクル・プラン」代表の入江初美さん。NPOなどで培ったアートと地域の中間支援活動経験を生かし、2011年に市民団体として立ち上げた。映画やアートで人と街かがきらめく小さなプランをテーマに、アーティストと子どもたちの感性をつなけげてみんなてで創り上けげる楽しさを体験するプログラムを企画している。
「コマ撮りアニメワークショップ」は「子どもゆめ基金」の助成を受けて6年前から年2~3回、愛媛県内を中心に町の中や美術館などで行っているイベントで、リピーターも多い。
うまく写真をつなげてアニメーションにするには、1秒の動画に15枚、1分間で900枚近くの写真が必要になる。ダンサーの得居さんが参加者にコマ撮り撮影の「動きのコツ」を見せると、子どもたちからは「動きが地味」「小さく動いてる」「たくさんの動きはいらない」などの声が上がった。
両日共、小雨降る中、参加者らは地域の商店街や古民家を巡り、北欧ビンテージ家具の販売や家具修理を手掛ける「Tukuroi(つくろい)」(松山市住吉1)やパン店「N’s キッチン&ラボ」(住吉1)、2019(平成31)年に国の登録有形文化財に指定された築130年の古民家「木村邸」(三津1)、地元住民らの活動で再生されたレトロな洋館「旧濱田医院」(住吉2)などで思い思いのポーズを取り、撮影を行った。
中ムラサトコさんによる、楽器や体を使った歌のワークショップの後、全員でカウントダウン。ループステーションによる声の多重録音演奏や足踏みオルガン、太鼓などを使って歌う「天真らんまんな声の使い手」中ムラサトコさんの即興演奏に合わせて、約2分のコマ撮りアニメーションを楽しんだ。
「楽しかったからまたやりたい」と話すのは、参加した子どもたち。保護者からは「以前住んでいた町ではこのように親子が一緒に楽しめるイベントなどがなかったのでうれしい。童心に帰ることができた。また参加したい」「見慣れた地元の町だが、コマ撮りアニメーションの中で見ると、いつもとは全く違う町に見えた」などの声が寄せられた。
主催者の入江さんは「コロナの影響で、今まで通りにはみんなと集まれなくなったが、今回もたくさんの申し込みがあった。来てくれた人の楽しそうな様子を見ていると、本当に開催を諦めなくて良かったと思う。これからも多様な表現や個性を認め合えるアートの楽しさ、みんなと関わりあう面白さを、地域の人たちと見つけていくプログラムを企画していきたい」と意欲を見せる。