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ゾウのウンチで特製クリスマスカード作り 愛媛県立とべ動物園

「ゾウのウンチ」のクリスマスカードを持つ、安永海人くん(小学2年生)

「ゾウのウンチ」のクリスマスカードを持つ、安永海人くん(小学2年生)

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 ゾウのウンチで作ったパルプを紙すきし、特製のクリスマスカードを作成するイベントが12月22日、愛媛県立とべ動物園(愛媛県伊予郡砥部町)で開催された。

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 ゾウの糞をリサイクルして作る紙は世界で初めてスリランカで開発され、現在では日本国内でも動物園や博物館などで販売されている。動物園で飼育されるゾウは、補助食として果物や野菜なども食べるが食事の多くを占めるのは、乾草・青草・稲わらなどの草類。そのため、ゾウの糞は大半が食物繊維で、比較的臭いが少ないという。1個が約1~3キログラムもある大きな糞は、1回に5~6個排出され、多いときで1日100キログラム近くにもなる。

 イベントで紙すきの材料になるゾウの糞は、1週間ほど水に浸してほぐし繊維質を取り出した後、漂白と殺菌のための薬品を入れて4時間じっくりと煮込み、その後、水洗いして薬品の成分を洗浄。通常の紙を作る工程と同じように「のり」の成分を加えてミキサーで繊維を細かく砕き、「ゾウのウンチパルプ」の完成だ。

 参加者はカードサイズの木枠に網を取り付けた紙すきの道具を使って、水に溶かした「ゾウのウンチパルプ」をクリスマスカードの形に整え、水分を切って乾燥。特製のスタンプを押したりイラストを描くなどして仕上げを行った。

 ラジオでイベントの告知を聞いて来場したという参加者の男性は「ゾウの糞から取った繊維は、実際に触れてみると思っていたよりも荒く、味わい深い質感の紙に仕上がった」と話した。

 このイベントを企画した、とべ動物園の濱田純基さんは「自分の手で『ゾウのウンチ』からクリスマスカードを作り、持ち帰ってもらうというイベントが、動物園のゾウばかりではなく、野性のゾウが瀕している厳しい状況にも関心を持つきっかけになればうれしい。ゾウはとても感情豊かな動物。動物園へ来た際には、同じ地球上にこんなに大きな動物が存在する、という驚きを感じながら、前を通り過ぎるだけでなく、じっくり観察してゾウの魅力に触れてほしい」と話した。

 とべ動物園は、日本で唯一、アフリカゾウが家族で暮らす姿を見ることのできる施設だ。現在は、推定31歳の母親ゾウ「リカ」と、2006年に生まれ日本で初めて人工保育で育った「姫(ひめ)」、2013年に生まれた「砥愛(とあ)」の3頭が同じゾウ舎で暮らしている。

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