松山市の模型教材店、富士教材(松山市柳井町3、TEL 089-941-9413)が現在、自社ビルの屋上を「交流農園」として活用するプロジェクトを進めている。
プロジェクトの発起人は、富士教材の田村洋平さん。富士教材の店舗は、1日当たり約2万7000人と四国で最も多くの人が利用する松山市駅から、約100メートルの位置にある。屋上にはミニ四駆のレーンなどを設置していた時期もあったが、現在は撤去し、全く利用していない状況。友人たちからも「活用すればいいのに」という声が上がっていた屋上の活用方法について考えたとき、たどり着いた結論が「街なかの屋上交流農園プロジェクト」だった。
2歳になる子どもの父親であり、2人目の誕生を控えている田村さんは、店舗のある松山市中心部に高い利便性を感じながらも、子どもたちが自然と親しめる場所が近くにないことを残念に感じていたという。「安心して楽しく土いじりをしたり、虫を観察したりなど、子どもたちが自然に触れる場所を街なかにつくりたい。園芸をきっかけに人と人、人や街、人と自然などがつながる場所をつくりたい」という思いが、今回のプロジェクトの原動力となった。
240平方メートルほどの広さがある屋上は、風通しもよく、日当たり良好。自社で学校向け教材として販売している植物栽培用プランターで、さまざまな作物が収穫できた経験から、屋上農園でも活用するという。
季節の野菜を育て、誰もが自由に訪れることができるスペースとして開放するほか、希望者には有料で、区画ごとに貸し出しも行う。屋上交流農園の利用者向けには、イヨココロザシ大学が園芸授業を提供する予定。
田村さんは現在、クラウドファンディングで、屋上交流農園を整備するための費用を募っている。目標金額は50万円で、支援コースは3,000円から。返礼品には「収穫祭へのご招待」「園芸授業へのご招待」「屋上交流農園11カ月間20%OFF利用」などを用意する。
田村さんは「子どもにとっては、畑の草むしりも刺激的なイベントになるということを、自身の子育てを通じて経験した。自分たちの手で種をまき、作物を育て、収穫し、大切に頂く。そのような経験を通じて、この屋上農園が、子どもたちが食べ物の大切さを学ぶことのできる場所になることを期待している。郷土野菜や料理を学び、夏と冬には収穫祭を行うなど、多世代交流の拠点にもしていきたい。さまざまな目的を持った人が集まり、『園芸』をきっかけに、人と人、人や街、人と自然などが『つながる』農園にしていきたい」と話す。
クラウドファンディングの受け付けは3月29日まで。