「9月の満月に光を届ける祭 『鈍光・DONViKARI』」が9月14日・15日の2日間にわたり、東温市の旧・えひめ酒だる村(東温市山之内)で開催される。
イベントを主催するのは、松山市で「潜り酒場『ワニとサイ』」(道後湯之町1)を営む、国本享裕さんを中心とするメンバー。10年ほど前に閉鎖し、長い間眠っていた「えひめ酒だる村」の施設を、今回のイベントを機にいろいろな人が集える場所に再生していくことを目指して、「サーカスみたいな2日間のお祭り」を企画した。
会場には、メインステージ・ワニサイステージ・Poolside Party・キッズエリアの4つのステージを設置。時間帯によってさまざまなアーティストのパフォーマンスを楽しむことができるほか、飲食ブースやワークショップ、会場に展示されているアート作品をオークションで購入できる催しなども展開し、サーカスのような2日間のイベントを演出する。
ステージでは、地元愛媛で活躍するアーティストを中心に、メインアクトとして、関西から、歌う怪詩人「デグルチーニ」を、名古屋からは、ガットギターとチェロが奏でる演奏に2人の子どもも加わって怪しく美しいパフォーマンスを披露する「Jaaja」をゲストに招く。
イベントを主催する国本さんは、愛媛県の出身。18歳から28歳までイタリアに渡って絵画とマリオネットの技術を学んだ後、2012(平成24)年、旅人が多く訪れる松山市・道後の伊佐爾波(いさにわ)神社近くに「ワニとサイ」を開店した。店では多くのツアーミュージシャンを受け入れ、連日ライブを開催している。
自身もマリオネットの「ラブリーノ君」を伴って、全国の様々なフェスやお祭りに参加してきたという国本さん。その中でできたつながりも多いといい、「いつか四国でも面白いお祭りをやりたいな、やれるな」という気持ちを、以前から抱いていたという。
会場の設営にはショベルカーも登場するなど本格的なところもある反面、「お金がなく、あるものを利用してみんなで作り上げたので、会場はバラック感満載の雰囲気。イベント開催1週間前まで水が出ずトイレが使えないことをひた隠しにしており、ネイチャートイレを作るべく穴掘り用のスコップを用意しかけたこともあった(7日に水道が開通したため、現在はトイレの利用可能)。いろいろと間に合わず、雑なところが目立つかもしれないが、『整っていない』方が、人は考えてそれなりに行動するということもある。それを信じて開催したい」と笑顔を見せる。
国本さんは「これは、未来に向けてのイベントでもある」と話す。「2日間遊ばせてもらう自然のことも考えて、お皿やコップはできれば持参を」と呼び掛け、フライヤーには酒だる村の壁にもペイントされているという、北米先住民クリー族の「最後の木が死に、最後の川が毒され、最後の魚を捕り終えた時に、人はようやく、お金は食べられないということに気づくのだ」という言葉が添えられる。
「会場は、山や川に囲まれた自然豊かな場所。いい音楽があって、おいしい食べ物があって、たのしいお酒があって、大人も楽しい、子どもも楽しい。助け合い、協力し合い、愛がある。そんなバイブレーションに満ちた2日間をぜひみんなで一緒につくりましょう」と来場を呼びかける。
会場ではキャンプも可能で、夜にはキャンプファイヤーも行う。駐車場完備。屋内で休憩できる場所や、授乳室なども用意する。夜間の来場者には、光源と長袖の準備を推奨。電波が届かず、携帯電話などは利用できない。
開催時間は、14日=13時~22時、15日=朝方~22時まで。入場料は500円(2,000円で「鈍光手ぬぐい」付き、3,500で「鈍光ふんどし」付き)。イベントの運営は入場料のほか、各飲食ブースの収益とアーティストらのパフォーマンスに対しての「投げ銭」のみで行う。