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松山市大街道で「デザインマラソン2019」 曽我部林造さんが金賞受賞

優勝した曽我部林造さんと、デザイナー安藤里実さん(huahua design)のチーム

優勝した曽我部林造さんと、デザイナー安藤里実さん(huahua design)のチーム

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 障がい者芸術文化祭「48時間デザインマラソン2019」が10月12日・13日、松山市の大街道商店街で行われ、アーティスト曽我部林造さんのチームが金賞に輝いた。

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 この企画は、障がいのある人たちから生まれるアート作品を社会に発信し、多様なつながりを生むことを目指して、2017(平成29)年に愛媛県の主催で始まったもの。障がいのあるアーティストが地元のデザイナーとチームを組み、2日間にわたるワークショップで、アーティストの魅力を最大限に生かす商品の企画を競う。

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 3年目となる今年は、就労継続支援B型事業所「Vise」(西条市三津屋)所属の曽我部林造さんと、デザインオフィス「huahua design」代表でアートディレクター・グラフィックデザイナーの安藤里実さんのチームが金賞を受賞。銀賞は、岡田好美さんと「TANPRO.」(松山市祝谷町)池田武仁さんのチームが、銅賞を大石涼さんと「ユイファクトリー」(伊予郡砥部町)三好拓郎さんのチームが受賞した。

 安藤さんはデザインマラソン初出場。仕事としてパラリンアート世界大会のまとめ冊子を製作した経験などもあり「面白そうな試み」と感じていたことがエントリーのきっかけになった。

 曽我部さんの作品を「製品化」するに当たって、安藤さんは「本人が、絵そのものを描き続けられる環境を作る」こと、そのために「アーティストとしての価値を高める」ことを重要視したという。

 安藤さんは、曽我部さんの魅力について「小さい頃から慣れ親しんだ動植物をモチーフにしたユーモラスで温かみのある作品を、下書きなしにペンでこつこつと描き上げ、豊かな色彩で彩っていく。作品自体の魅力もさることながら、一心不乱に細かい描写で画用紙を埋めてゆく作業には思わず見入ってしまう迫力があり、会場でも道ゆく人が長い時間足を止めてくれた」と話す。

 今回安藤さんは、曽我部さんの製作過程を映像化してYoutubeで発信。そこで興味を持った人が、絵そのものや、絵をデザインに取り入れたグッズなどを購入できる「仕組み」をつくり上げ、プレゼンテーションに臨んだ。

 今回の受賞を機に、曽我部さんが所属する「Visee」では、新しい部署として「届ける課(仮)」を設置することが決まっている。事業所に在籍する人のアート作品を活用するための営業活動を行い、原画そのものの販売のほか、製品化してライセンス料で収入を得るなどさまざまな方法を検討中。過去の作品や商品をアーカイブ化する取り組みも計画している。

 安藤さんは「事業所全体が『アートを魅力的な商品にして売る』という取り組みを行うことで、その仕組みがモデルケースとなって、他の事業所にも広がってくれれば」と今後への期待を語る。

 「社会がボーダレス化している現在、障がいのある人のアートが特別視される必要はないのではないか、と思う気持ちがある。『福祉的購買』と呼ばれるような動機ではなく、商品や作品そのものに高い価値や魅力を見いだして購入する人が一人でも増えるような『売り方』について考えるときには、必ずわれわれデザイナーに手伝えることがある。『アートを買う』人が多い社会は、豊かな社会だと思う。アート全体の価値を高め、アート作品やアーティスト自身にリスペクトの気持ちを持って接する人が増えること、さらには街づくりの一環として、愛媛のアート全体を盛り上げるような流れにつなげていくことができれば」とも。

 「どんな取り組みも長く続けるためには、関わる人たちが適正な収入を得られるということが本当に大切。今回、裏テーマに掲げていた『Get Money』には、デザインやブランディングの力で『福祉的購買』の枠を越えていきたいという思いがある。今回のプレゼンテーションで発表したアイデアは、早速動かしていく」と今後への意欲を語った。

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