新型コロナウイルスの影響による県立高校、公立小中学校などの休校を受け、子どもの居場所づくりのため「まつやま子ども食堂」が3月25日まで、平日毎日オープンすることを決めた。
受け入れを行うのは「まつやま子ども食堂・よろずやカフェ そらいろのたね」(松山市鉄砲町、TEL 090-3788-4467)。
子どもたちは、店内で宿題をしたり自由に遊んだりしながら、食事の提供を受けられる。天気のよい日には弁当を作って、近くの大学キャンパスや松山城公園などに出掛けることもある。
代表の野中玲子さんは現在、松山市内の2拠点で子ども食堂を運営。2016(平成28)年4月から「清水ふれあいセンター」(清水町1)で毎月第4月曜に、2017(平成29)年7月からは「よろずやカフェ そらいろのたね」でも毎月第2・4土曜に「まつやま子ども食堂」を開いている。
「よろずやカフェ そらいろのたね」は、2017年5月にオープン。自身もシングルマザーであり、2007(平成19)年から13年間「シングルマザー交流会松山」を主催してきた野中さんが「来店すれば、店にいる誰かが子どもの面倒を見たり遊んだりしてくれて、お母さんが一息つける。同じ立場の人とも出会えて、いろんな話ができる。そんな拠点となる場所をつくりたい」と営業を始めた。
通常営業時のメニューは、オーガニック食材を使った日替わり定食、カレー、パスタなど。価格は全て750円。子ども食堂では通常メニューに加え、子どもたちの「シチュー食べたい」「オムライスがいい」などのリクエストに応えてスペシャルメニューを提供することもあるという。
春休みまでの平日オープンを決めた経緯について、野中さんは「急な事態で途方に暮れているお母さんからの声が届き、居場所のない子どもたちの顔もリアリティーを持って浮かぶ。模索した結果、こんな時こそ私たちにできることをしたいと思った」と話す。
受け入れ可能な子どもは、原則としてこれまでに「まつやま子ども食堂」を利用したことがある人。その理由を野中さんは「一日中の受け入れができるのは、子どもの性格から普段の体調、アレルギーの有無や食べ物の好き嫌いまで把握できており、保護者ともしっかりとした信頼関係が築けているから」と話す。
家庭の事情などによっては新規受け入れの相談にも乗るという。「今回の急な休校で困っている人は、まず相談に来てほしい」と野中さん。保育士、社会福祉士と精神保健福祉士の資格を持ち、スクールソーシャルワーワーカーとしての経験もある野中さんは「責任ある立場として、当日急に来て『子供だけ居させてほしい』という要望には応えられない。まずは子どもさんと家庭のことをよく知り、緊急時の対応などについてもしっかりと確認した上で、可能であれば受け入れたい」と話す。
「まつやま子ども食堂」では運営のため、金銭面でのカンパやボランティアスタッフを募っているが、「子ども食堂には『いるだけボランティア』という参加方法もある」と野中さんは笑顔で話す。
「時間がある時に店で食事をして、その前後にしばらく子どもたちと話したり遊んだりしてくれるだけでいい。積極的に関わらなくても、ただ居てくれるだけでもいい。子ども食堂の利用者には『大学を卒業した人や、スーツを着て働いている大人を見たことがない』という子もいる。さまざまな人がお店に来てくれることで、家庭と学校の往復だけで狭くなりがちな子どもたちの世界を広げることができ、それがとても大きな支援になる」
「子ども食堂は『子どもの貧困』という社会課題から生まれたもの。今は私も子どもたちやお店に来てくれる人との交流を楽しんでいるが、最終的には『子ども食堂』が必要ない社会になってほしい」と話を結んだ。
「よろずやカフェ そらいろのたね」の営業時間は、火曜~土曜の11時30分~22時。子ども食堂は第2・4土曜の営業時間内ならいつでも利用可能で、「18歳くらいまで」の子どもは無料。子ども連れだけでなく、子どもだけ、大人だけでの来店も歓迎する。