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松下ユリア・エリカ姉妹製作のアートフィルム「赤糸で縫いとじられた物語」、東温で上映会

「赤糸で縫いとじられた物語」の1シーン。作品は東温市を中心に、オール愛媛ロケで撮影された

「赤糸で縫いとじられた物語」の1シーン。作品は東温市を中心に、オール愛媛ロケで撮影された

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 松山市出身の松下ユリアさん・エリカさんら姉妹が製作した長編アートフィルム「赤糸で縫いとじられた物語」の上映会が11月8日、「なめがわ清流の森」(東温市滑川)で開かれる。

監督の松下ユリアさん(左)と衣装や美術を手掛けるエリカさん(右)

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 2人は幼少期からバレエに親しみ、姉のユリアさんはイギリスに留学してアートとファッションを、ポーランドのアートアカデミーで彫刻を学んだ後、早稲田大学で映像作家である安藤紘平さんに師事。妹のエリカさんは、イギリスのバレエ学校に進学してミュージカルやコンテンポラリーダンスなどを幅広く学んだ後、オーストラリアに渡って油絵を学んでいる。1999(平成11)年から、共にタイに活動の拠点を移して、脚本制作や衣装デザインなどの活動を展開してきた。

 2002(平成14)年には活動の拠点を愛媛に移し、「トラノコ パフォーミングアーツカンパニー」(松山市余戸中2)を主宰。世界的に発信できる総合芸術を目指して、子どもたちを対象にバレエやコンテンポラリーダンスの教室を開くとともに、舞台やエキシビション、映像作品などを発表し、東京や海外の公演でも多くの受賞を重ね高い評価を得ている。

 初の長編映画製作について、「愛媛を拠点に活動を続けてきた『トラノコ』の20周年を前に、何か形に残る作品を作りたいという気持ちが芽生えた」とユリアさん。「『トラノコ』でパフォーミングアーツを学んだ子どもたちが出演者として育ってきたことや周囲の後押しもあり、自然な流れで映画製作を始めることができた」と感謝の言葉を口にする。

 撮影は、姉妹がタイで活動していた時代に知り合ったパフラック・コンさん、音楽はポーランドを代表するピアニストであるマグダレナ・ズックさんが担当。同作品は現在、数多くの海外の映画祭に出品しており、これまでに「カナダ映像賞」でベスト長編映画撮影賞を受賞、「NY映像賞」ではファイナリストに選ばれたほか、ポーランドの「NNW国際映画祭」でも審査委員特別賞を受賞している。

 「この映画自体が、私たち姉妹のルーツを象徴している」とユリアさん。「ポーランドの芸術一家である母方の家族との思い出や子どもころのエピソード、思い出の詰まった古いおもちゃ、いとこの描いた絵などが『トラノコ』の子どもたちのパフォーマンスや愛媛のノスタルジックな風景と融合して、叙情と幻想がシュー ルに溶け合ったアートフィルムを作り上げることができた」と話す。

 「コロナの影響で授賞式に参加できなかったのが本当に残念。先月27日に審査委員特別賞を受賞したNMWは、ポーランドではメジャーな映画賞だったため、母方の親戚や知人などから『テレビや新聞で見たよ』という嬉しい声がたくさん届いている」とユリアさん。NMWの授賞式では、審査員で映画監督のレフ・マイェフスキさんから「映像の中で彩られた俳句のようだ。重いテーマを繊細かつ素晴らしく描いている」との言葉が贈られた。

 「今後も映画作品を作りたい。撮っていきたいテーマはたくさんある」とユリアさん。「これまで舞台やパフォーマンス、ショートフィルムなどを通じて、一言では言い表すことのできない独自の色を作り出してきた。今後もやアニメーションやミュージシャンとのコラボなどを通じて、ライブ感のある体験型のスタイルで独自の世界観を表現していきたい」と意欲を見せる。

 開催時間は11月8日11時~と15時~。各回1時間40分。入場無料。14時には、作品中に登場する国本享裕さんのマリオネットパフォーマンスも予定する。申し込みは「トラノコ」のホームページまたは電話で受け付ける。

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