公・民・学連携で街づくりに取り組む「アーバンデザイン・スマートシティスクール松山」の中間発表会が9月3日、オンラインで行われる。
一般から受講生を募り、7月にスタートした同講座。大学生や専門学校生、社会人、松山市職員など40人のメンバーが、オンラインでの講義やグループワークなどを経て検討した「街づくりに関する活動コンセプト」を発表する。
講座を主催する松山アーバンデザインセンター(松山市花園町4)は2014(平成26)年から2019年まで毎年、市民がまちづくりを実践的に学ぶ「アーバンデザインスクール」を開講してきた。今年度は初めて「松山にアーバンテラスをつくる」とテーマを設定し、オンラインで開催。同センターの取り組みはこれまでに、アジア都市景観賞やグッドデザイン賞、まちなか広場賞大賞、ソトノバアワード準大賞など、街づくりや景観デザインに関する賞を多く受賞している。
広報を担当する板東ゆかりさんは「行政の担当者や専門家だけに任せてしまうのではなく、エンドユーザである市民を巻き込んだまちづくりを進めることで『市民による市民のための場所づくり』につなげたい」と期待を込める。
「松山ではJR松山駅と伊予鉄松山市駅前の整備事業が進められており、道後温泉も本館の保存修理工事が行われている。加えて道後エリアでは、これまであまり注目を集めていなかった本館東側の上人坂エリアに新たな交流拠点となる『ひみつジャナイ基地』が作られるなど、松山は街の主要エリアで空間が大きく変わるターニングポイントを迎えている」と板東さん。「一方、2017(平成29)年9月に新しく生まれ変わった花園町通りなどでは、地元の人を中心に日曜市などのイベントも行われ『公共空間を使いこなす文化』が芽生えつつある」とも。
受講生は「道後・花園町周辺・松山駅周辺・まちなか」など、エリアやテーマごと6グループに分かれ、アイデアを検討。道後エリアでは「道後の雰囲気に明かりをともす」等のアイデアを出し合い、地元や観光客も巻き込んだ活動を、花園町周辺エリアでは、日頃視界に入っているがあまり意識されていない地域資源にスポットライトを当てることで新しい日常の楽しみ方を提案することなどを検討しているという。12月には各チームが練り上げている活動プランをオンラインで発表し、来年1月には社会実験として実施することも予定している。
「アイデアを形にして実際にやってみることで、その活動の様子やそこから生まれた風景が地域の人に共有され、変化のきっかけにつながることも」と板東さん。
「2019(平成31)年に花園町で沿道の店に協力を依頼し、テーブルと椅子を設置して屋外の飲食スペース『花園テラス』の試みを始めた。当初はお願いして協力してもらっていた企画だったが、今では通り沿いの5~6店舗が連携してテラス席を実施してくれるようになり、新しい街の風景として定着している。テークアウトメニューを提供する店が増えた影響もあり、街なかに人々が足を止めて滞在し、休憩する場所を生み出すことができた成功事例の一つ」と振り返る。
「街の空間が大きく変わろうとしている今、市民主導のアイデアを形にする実証実験を通じて新しい街での過ごし方の『種』を作り出し、じっくり育てて、多くの人が今よりもっと松山の街を楽しめるようになれば」と意欲を見せる。
開催時間は18時~20時。松山アーバンデザインセンターのユーチューブチャンネルでライブ配信する。