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松山市で「ビッグデータ等の活用に関するオープン講座」ワークショップで理解深める

デジタルリテラシーの年齢差について話す、講師の粟生万琴さん

デジタルリテラシーの年齢差について話す、講師の粟生万琴さん

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 「ビッグデータ等の活用に関するオープン講座」が10月12日、愛媛大学(松山市文京町2)で開催され、大学生や社会人や大学関係者など80人余りが参加した。

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 この講座は、松山市が主催する「データサイエンティスト育成講座(全5回)」の第1回。異なるバックグラウンドを持つメンバーが共に学び、ワークショップ形式の課題に取り組むことでより深い学びの機会の創出を目指して企画された。

 講師を務める粟生万琴さんがプログラミングと出合ったのは13歳の時。中学校の選択授業がきっかけだった。身近にIT関連の仕事に携わる親戚などが多かったことから刺激を受け、工業大学へ進学。システムエンジニアを経て、現在はプロフェッショナルとフリーランスのためのJOBプラットフォーム「パソナJOBHUB」(千代田区大手町2)のエグゼクティブフェローと、関西発のAIベンチャー「エクサウィザーズ」(港区浜松町1)社長室ファウンダーを兼任し、人工知能の普及と、AIを活用した社会・産業課題の解決に取り組んでいる。

 講義ではAIの概要や歴史について解説。人間の「知能」に相当するものとして、AIが情報を基に判断を下す際に用いられる「判断モデル」を挙げ、そのシステムが「単純な制御プログラム」や「ルールベースの古典的な人工知能」から「機械学習」、さらに、従来は人間が手掛けるしかなかった特徴量設計をコンピューター自らが自動的に行うことのできる「深層学習(ディープラーニング)」へと発展してきた歴史などについて紹介した。

 講師の粟生さんは「AIをビジネスに取り入れて活用しようと考える際には『AIに何ができるのか』を知ることが重要。AIにどんなことができるのか、どんなふうに活用されているのかを知り、まずは身近にあるAIを実際に使ってみてほしい」と話す。

 「画像認識」や「音声認識」など最先端の具体的なAI活用事例として「画像からテキストを、テキストから画像を生成する技術」「スポーツ選手の動きをトラッキングし、軌跡の位置情報を戦術分析などに活用する技術」などについて紹介。iPhoneに搭載されている「Siri」や日本マイクロソフトが開発・運用している女子高生ツイッターアカウントbot「りんな」など、エンターテインメント性の高い事例などについても、「日常生活の中でAIに触れるきっかけとして活用してみてほしい」と開発の経緯などを交えて紹介した。

 「AIに対してどんな印象を抱いているか?」との粟生さんの質問に対し、受講生からは「生活を便利にしてくれるもの」など、ポジティブな答えが挙がった。

 粟生さんは「一昔前だと『AIに仕事を奪われる』『AIが人類を支配する』など、ネガティブなイメージを描く人が多かったが、皆さんの回答からも普段の生活の中にAIが浸透している様子を感じる」と話す。AIが代替することのできない人間特有の能力として「Creativity(創造性)」「Hospitality(人に対する配慮ある対応)」「Management(複合的な管理・運営能力)」を挙げ、さらにこれからの社会で求められるエンジニアの姿として「アプリケーションだけでなく、DBやサーバー、数学的思考を持ち合わせたフルスタックエンジニア」の必要性を説いた。

 座学に続いて行われたワールドカフェ方式のワークショップでは、参加者がそれぞれ、生活の中で解決したいと感じている課題を挙げ、解決するために活用できそうなデータについて検討。全体でアイデアをシェアして、ビッグデータの活用に関する理解を深めた。

 2回目以降の講座は、11月2日~12月14日の週末を中心に開催。2020年初頭には、今回の参加者のほか、市内企業の経営者や一般参加者を交えた成果発表会と交流会・懇親会も行い、データサイエンスに関わる人材と経営層や関連部門のほか、生活の中でビッグデータやAIに触れる一般の人も交えて、相互理解と交流の促進を目指す。

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