経済的理由や病気、被災などでクリスマスを楽しめない環境にある子どもたちに、絵本のプレゼントを贈る社会貢献事業「ブックサンタ」が行われている。
3回目の開催となる今年は、ジュンク堂松山店(千舟町5)が参加書店に加盟。子どもたちに特別なクリスマスの思い出を贈るための一拠点として、活動をサポートする。
「ブックサンタ」の活動を行う「チャリティーサンタ」(東京都千代田区)は、2008(平成20)年、家族からの依頼を受けてサンタが家庭を訪れ、子どもたちに手紙やクリスマスプレゼントを届ける活動を始めた。2014(平成26)年、プレゼントを届けた子どもが1万人を超えたことをきっかけに活動を振り返り調査した結果、経済的に厳しいひとり親家庭や、時間的・精神的に余裕のない家庭などで、子どもたちに「当たり前の楽しい体験や思い出」が不足していることが分かったという。
当初は寄付金を受け、家族が用意した手紙やプレゼントをボランティアのサンタクロースが渡す形で活動を行っていたが、プレゼントや寄付金の用意すらままならない厳しい環境の家庭の子どもたちにもクリスマスの夢を届けたいと、2017(平成29)年に「ブックサンタ」の試みをスタートした。
絵本を贈りたい人は、全国282の協力書店で子どもたちに贈りたい絵本を自由に選び、レジで購入する際に「ブックサンタでお願いします」と伝えて書店に絵本を預ける。寄付した絵本は東京と岡山のボランティア拠点に集められ、全国26都道府県・37支部を通じて、サンタの訪問を希望する家庭に届けられる。
「ブックサンタ」では、参加書店の店頭のほか、専用書店サイトを通じた絵本の寄付や、クラウドファンディングによる支援も受け付けている。
昨年は、全国から2180冊の絵本が集まり、独自の研修を受けてサンタの衣装に身を包んだ「ボランティアサンタ」が、希望者の家庭を訪れて子どもたちにプレゼントを手渡した。これまでに延べ1万5000人以上がサンタになって、3万人を超える子どもたちにクリスマスの贈り物を届けている。
「チャリティーサンタ」代表の清輔夏輝さんは「クリスマスは子どもたちが共通して夢を見ることのできる時期」と話す。「経済的な事情などで厳しい状況にある子どもたちにも、大人たちが手を取り合い、クリスマスの夢を届けていきたいと思っている。時間がある方はボランティアサンタとして、また、贈りたい絵本や経済的な余裕がある方は、書店やサイトを通じて寄付をしていただくなど、それぞれに合う方法で『あなたも誰かのサンタクロース』になってもらえれば」と支援を呼び掛ける。
「できれば実際にサンタクロースになって、子どもたちの元を訪れてみてほしい」と清輔さん。「チャリティーサンタ愛媛支部」では、12月22日と24日に、サンタとしてプレゼントを届けるボランティアの募集を行っている。ボランティアサンタの参加費用は、学生500円、社会人2,000円。3時間程度の研修を受け、本番に望む。参加費用はボランティア保険料のほか、衣装代、運営費やチャリティー金として活用する。